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呆気ない幕切れ

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第二章

「今度はうちがや」
「ソフトバンク相手にですか」
「やったるわ」
「そうですか」
「悪いな」
「まあ自分阪神は特に嫌いやないな」
「パリーグですからセリーグは特に」
 そもそも興味がない、そうした返事だった。
「ですから」
「そうか、ほな今日も勝たせてもらうで」
「今日は負けないですよ」
 ソフトバンクファンの彼も負けていなかった、ここからだった。
 第二戦ソフトバンクは勝った、これで互角だった。
「対等の土俵に上がっただけや」
「それでも今年の阪神はちゃうで」
「次は勝つで」
「それで二勝目や」
 阪神ファン達はその一敗で負けていなかった、やはりクライマックスで巨人を成敗したことが大きかった。
 それでだ、第三戦は勝つと思っていたが。
 また負けた、それでもだった。
「ええハンデやないか」
「これ位やないとソフトバンクも可哀想や」
「二勝位せんと恰好つかんやろ」
「後はこっちが連勝や」
「一気に三連勝してや」
「それで終わりや」
「甲子園で胴上げは間違いないわ」
 あくまでこう言う、それでだった。
 第四戦は福岡、ソフトバンクの本拠地である福岡ドームでの対決となった。会社でしてやられたと先輩に言ったソフトバンクファンは仕事帰りに試合がはじまったことを自分のスマホでチェックした、その後ネット観戦をしようと思ったが次の日有給なのでスーパー銭湯に行きその後居酒屋で心ゆくまで飲み。
 家に帰ってこのことに気付いてスマホで試合を確認するともう終わっていた、ソフトバンクが勝っていて笑って言った。
「これで王手か」
「三連敗のあとの三連勝、ドラマティックやないか」
 それでも阪神ファン達は強かった、この状況でもまだ言えた。
「第七戦甲子園で胴上げやな」
「その時のスポーツ新聞が楽しみや」
「わい道頓堀に飛び込むで」
「わいもや」
 甲子園での胴上げを楽しみにしていた、そうしてこの日は明日からだと笑顔で言い合った、そのうえで。
 第五戦となったがソフトバンク優勢のまま試合は進み。
 投手戦となったが阪神は最後まで決勝点を取れず。
 阪神は九回ソフトバンクの守護神サファテの制球難から一死満塁とした、ここでバッターボックスにはかつてロッテで活躍しあのシリーズでMVPを獲得した西岡剛がバッターボックスに立った、その彼はファーストゴロとなり。 
 西岡は最初から内野のラインの内側を箸ってしまった、これがキャッチャー細川亨がファ―ストの明石健志の返球を捕球してホームベースを踏んだ後一塁に投げることを妨害したこととなり守備妨害となった、しかも細川の送球が西岡の背中に当たってしまっていた。既に守備妨害となっていて西岡はアウトとなっていた。これで勝敗は決した。
 ソフトバンクの日本一となった、ダブルプレーを妨害したことでのゲームセットそれもシリーズ終了という事態に阪神の監督和田豊も審判達に抗議したが。
「あれは朱妨害じゃないだろ?」
「いえ、守備妨害ですから」
「西岡選手グラウンドの内側走っていましたから」
 聞き入れられず筈もなかった、しかもその横で。
「監督、勝ちましたよ」
「日本一ですよ」
「胴上げです」
「こっちにどうぞ」
「皆今まで有り難うな」 
 ソフトバンクの監督秋山幸二がその引き締まったスタイルでグラウンドに出て来た、その顔は満面の笑顔であった。 
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