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呆気ない幕切れ

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第一章

                呆気ない幕切れ
 二〇一四年阪神タイガースは全人類共通の敵読売ジャイアンツをクライマックスで成敗しシリーズに出た、この時。
 阪神ファン達は舞い上がって口々に言った。
「まさかのシリーズ出場やけどな」
「どうせ出るんやったらな」
「このままシリーズも制覇や」
「日本一の胴上げや」
「和田監督もそう言うてるしな」
 胴上げは日本一の時にとだ、巨人を成敗した時に言ったのだ。
「ほなな」
「シリーズソフトバンクに勝ってやな」
「それで胴上げやな」
「そうなるな」
「九年前は悪夢やった」
 ここで誰かが二〇〇五年の話をした。
「ほんまにな」
「ああ、あれな」
「三十三対四な」
「あれは酷かったな」
「ロッテに一方的にやられたな」
「コールド負けとかも言われてるし」
「最後は甲子園で胴上げやった」
 阪神ファン達にとってはトラウマになっている、ペナントは圧倒的な勢いで下したがシリーズでは無残な敗北を喫したからだ。
「文字通りの悪夢やった」
「二度と経験したくないわ」
「何があってもな」
「けど今度はちゃうで」
「今度こそ日本一や」
「一九八五年の再来や」
 この年のことも話に出た。
「あの時の勢いで勝つんや」
「ソフトバンクが何や」
「あのチームに勝ったるで」
「クライマックス一気に勝ったんや」
 横浜に勝ちそれから巨人を成敗した、巨人に弱いと言われていた藤浪も力投し阪神はシリーズ出場を勝ち取ったのだ。
「幾らソフトバンクが強くてもや」
「勝ったるで」
「今度は甲子園で胴上げや」
「日本一の胴上げ本拠地でしたるで」
 こうした言葉も出た、とにかくだった。
 阪神ファン達は今度は日本一だと怪気炎を上げていた、彼等は阪神は今度こそと期待していた。その中でシリーズは開幕し。
 第一戦阪神が勝った、それであるソフトバンクファンは阪神ファンに職場で先輩に言った。
「いやあ、してやられました」
「自分鷹やったな」
「はい、昨日はやられました」
「これが今年の阪神や」
 その先輩は笑って言った。
「ペナントは二位やったけどな」
「ここぞっていう時にですか」
「勝つんや、そやからシリーズもな」
 つまり今もというのだ。
「このまま一気に勝つで」
「四連勝ですか」
「ロッテにやられたけど」
 このトラウマは最早阪神ファン共通のものになっている。 
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