恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十五話 陸遜、ふと見つけるのことその八
「それでなのね」
「はい、そうです」
「宮廷も改革されて帝もね」
「今の帝はとても素晴しい方です」
「英邁な方だと御聞きしているけれど」
「まだご幼少ですが」
それでもだというのだ。今の帝は。
「非常に素晴しい方です」
「ううん、帝がそうした方で国政は劉備さんが中心になって進めてくれて」
そうしてだというのだ。
「国政はかなりよくなってきているわね」
「はい、非常に」
「国はよくなっているわ」
また言う紀霊だった。
「後はあの怪しい連中を取り除けばね」
「この国も安泰になります」
「ええ。何だかんだであともう少しね」
「この国が本当によくなるのは」
「頑張ろう、それじゃあ」
「そうですね。あとですが」
「あと。どうしたの?」
ここで話が変わった。文姫はローレンスを見てだ。こう言うのだ。
「ローレンスさんですけれど」
「ああ、あの人ね」
「何か動きが凄いですね」
こうだ。ローレンスを見て話をするのだ。
「赤いマントっていうんですね」
「あの手に持ってるのよね」
「あれをひらひらさせて牛を挑発させて」
それでだ。さらにだというのだ。
「間一髪でかわされて剣を刺して」
「あれねえ。凄いわよね」
「あんなことできるんですね」
「あっちの世界じゃ闘牛士っていうらしいわね」
「闘牛士ですか」
「そう、マタドール」
あちらの世界の呼び名にもなる。
「それにね」
「そういえばあの人あちらの世界では」
「それだったから」
「だから今こうしてですか」
「そう。その闘牛をね」
しているというのだ。
「それにしても。あれはねえ」
「華麗なものですね」
「そうそう、それよ」
その言葉だというのだ。
「そうした闘いよね」
「ああした闘いもあるのですね」
「まるで舞みたいよ」
まさにだ。そうした闘いだというのだ。
「そんな感じよね」
「蝶の様に舞い」
「蜂の様に刺すね」
「そんな感じよね」
「はい、そう思います」
文姫もこう紀霊に応える。
「見ていて惚れ惚れとします」
「あちらの世界じゃああしたものもあるのね」
「何か楽しい世界ですね」
「そうよね。楽しいわ」
実際に見ていてそうだというのだ。
「見がいがあるわね」
「それでなんですけれど」
ここで文姫は尋ねた。
「あの牛はどうなるのでしょうか」
「ローレンスさんが闘っているその牛よね」
「今ああして剣が次々に刺さっていますけれど」
ローレンスはかわす度にだ。剣を刺しているのだ。それを見てだった。
文姫は紀霊に尋ねたのだ。倒れた牛はどうなるかと。
「それで倒してからは」
「食べると思うわ」
「食べるんですか」
「だって。倒して終わりじゃないでしょ」
だからだというのだ。
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