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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十四話 司馬尉、妹達を呼ぶのことその五

「あの娘は気になるわね」
「ただの抜けてる娘では?」
「話を聞いていますと」
「ええ。あの娘自身はね」
 そのだ。劉備はどうかというのだ。
「政も戦もね」
「どちらについてもですね」
「大したことはありませんね」
「ええ。確かに抜けているし」
 それもまた事実だというのだ。
「ぼんやりとした娘よ」
「では問題にならないのでは?」
「幾ら皇室の者とはいえ」
「あの娘の周りには」
 そのだ。劉備の周りがだというのだ。
「多くの優れた者達が集っているわ」
「その者達がですか」
「問題だというのですね」
「その曹操や袁紹にしても」 
 彼女が侮蔑しているだ。その彼女達もだというのだ。
「劉備の下に集まっているわ」
「あの二人もですか」
「その劉備の下に」
「勿論孫策や袁術もね」
 彼女達のことも話される。
「彼女のところに集っているわ」
「では私達が滅ぼそうとしている者達がですか」
「あの娘の下に集っているのですか」
「では今は」
「あの娘は」
「人を惹き付けて話さないものがあるわ」
 それがだ。問題だというのだ。
「それが気になるわね」
「では。我が司馬家がこれから望みを果たすには」
「その劉備がですね」
「最大の敵になりますか」
「今後は」
「そう思うわ。都に戻れば」
 司馬尉の顔から余裕の笑みが消えていた。そのうえでの言葉だった。
「あの娘をね」
「はい、わかりました」
「手を打ちましょう」
「消すわ。しかも」
 ここでだ。司馬尉の顔に妖しい笑みが戻った。
 それでだ。こう二人に言うのだった。
「思いきりね」
「残忍な方法で、ですね」
「時間をかけて」
「人を殺すには楽しみがなければ意味がないわ」
 妖しい笑みにさらにだ。酷薄なものも宿った。
 そうしてだった。彼女は言うのだ。
「だから。あの娘もね」
「その劉備もですね」
「そうしますか」
「そうするわ。さて」
 ここでだ。また話す司馬尉だった。
 そのうえでだ。彼女達は。
 闇の中に入りだ。軍議を開くのだった。
 軍は司馬家の者達が動く様になっていた。それを見てだ。
 曹仁は苦い顔でだ。曹洪達に言うのだった。
「どう思うかしら」
「あからさまなことをしてくれるわね」
 曹洪もだ。苦い顔で応える。
「私達は完全に蚊帳の外ね」
「そうね。司馬家の面々でね」
「除け者にしてくれるのはわかっていたにしても」
「ここまで露骨にしてくれるとはね」
「全くね」
「やってくれるわ」
 田豊達もここで言う。
「陣も明らかに離してくれたし」
「軍にしてもね」
 とにかくだ。司馬家の者達だけでなのだった。
 彼女達は率いている軍も除け者にされていた。完全に司馬家だけで話が進んでいた。
 
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