八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二話 エメラルドとルビーの街その六
「マスコミだって持て囃すだけでね」
「そんな練習していても」
「番長とか言ってね」
「マスコミもわかってなかったの」
「こんなの考えなくてもわかる筈だよ」
野球選手には野球選手の練習があることはだ。
「本当にね」
「それなのに誰も言わなくて」
「それでね」
そのうえでだ。
「どんどんおかしくなって」
「ああなったのね」
「うん、馬鹿なお話だよ」
本当にこう思う。
「あの人については」
「それで今に至るのね」
「今も見るに堪えないよ」
捕まる直前と同じくだ。
「人間ああなったら駄目だよ」
「それは本当に思う話ね」
「見事な転落だよ」
その収入や経歴に関係なくだ。
「本当にね」
「何でああなったのか」
「そのキャスターもそうだけれどね」
「そうね、けれどその野球選手の人は報い受けたわね」
「うん、手遅れだと思うけれど」
正直なところだ。
「そうなったよ」
「逮捕されて」
「そうなったよ」
「それは救いかしら」
「どうだろうね、まああのキャスターよりはね」
同じ人相が悪くなった者同士でもだ。
「やったことも遥かにましだいね」
「そのキャスターの人は罪深いのね」
「つくづく思うよ、何とか報いを受けて」
そのうえでだ。
「この世を去ることだよ」
「そうあるべきね」
「沢山の人も日本も不幸にしたからね」
こう言ってだ、僕は。
香織さんに前を見てこう言った。
「それで今からね」
「ディナーね」
「それに行こう」
「それじゃあね」
「五時からでもね」
早いけれどだ。
「行こうね」
「わかったわ、そこでワインも飲むのね」
「ワインもあって」
それも結構な味のものだ。
「それで七面鳥もね」
「鶏肉じゃなくて」
「うん、七面鳥だよ」
「本格的ね」
「実際は牛肉程高くないし」
七面鳥の肉はだ。
「それでね」
「そっちを頼んだの」
「そうしたんだ、あとケーキもね」
「予約してるのね」
「これはね」
それこそだ。
「忘れたらいけないと思ってね」
「そうよね、ケーキはね」
「クリスマスに欠かせないからね」
太宰の頃はそんなもの噂にしか聞いていなかっただろう、日本に来ていたアメリカ軍の中ではともかくとして。
「だからね」
「用意したのね」
「それでね」
そのうえでというのだ。
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