| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百二話 エメラルドとルビーの街その五

「あの覚醒剤で捕まった元プロ野球選手もね」
「自称番長の」
「あの人もね」
 その変遷を見ているとだ。
「最初は好青年だったのが」
「ああなったのね」
「ヤクザ屋さんみたいにね」
 本当にそうなった。
「あれもやっぱりね」
「生き方が出てなのね」
「それでね」
 まさにそのせいでだ。
「ああなったんだよ」
「何か巨人に行ってからよね」
「うん、どんどん人相が悪くなって」
 高校時代や西武の頃は本当に好青年だったのにだ。
「ああなったんだ」
「それも生き方よね」
「絶対に変な人と付き合ったんだよ」
 覚醒剤なんてそもそも普通の人が持っていない、もうそうした人との付き合いがあったことは間違いないだろう。
「それでだよ」
「人相が悪くなって」
「服装も変になっていったし」
 その筋の人みたいになった。
「引退して捕まる前とかね」
「ああ、何か凄かったわね」
「もう見るに堪えなかったよ」
 そんな風になっていた。
「頬髯あること自体はともかくね」
「変なお髭だったわね」
「スーツもそっちの筋でね」
「入れ墨もよね」
「入れていたしね」
 本当に何を考えているんだという外見だった。
「本当にどんどん酷くなって」
「捕まったのよね」
「誰か止めなかったのか」
 こう思って仕方ない。
「巨人時代でもね」
「あの頃からなのね」
「だってね、野球選手が格闘家のトレーニングしてもね」
 そして格闘家の食事をしてもだ。
「意味ないから」
「野球選手は野球選手よね」
「格闘家の筋肉なんかつけても」 
 それでもだ。
「怪我するだけだよ」
「実際怪我多くなったのよね」
「野球選手の身体じゃないのに野球してもね」
 格闘家が野球をしてもだ。
「そりゃ無理があるよ」
「野球選手の筋肉じゃないから」
「野球選手には野球選手の筋肉があるのよね」
「どのスポーツだってそうだよね」
「それはね」
 香織さんも頷くことだった。
「私でも思うわ」
「もうどんなスポーツでもそうでね」
「野球選手は野球選手の練習をして」
「食事もね」
「野球選手のものね」
「そうあるべきで」
 もうこれは当然のことだ。
「格闘家の訓練してそうした食事摂って」
「そうしても意味ないどころか有害ってことね」
「それで俺は強いとか言ってたけれど」
 それも誇らしげにだ。
「心ある人なら何考えてるんだってなるよ」
「おかしいって」
「もっと言えば馬鹿かってね」
 思わずこの言葉が出た。
「そうなるよ」
「そこで止めないとなのね」
「駄目だったんだよ、周りが」
 本当にそう思う。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧