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夢幻水滸伝

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第百八十五話 内閣その十二

「もうな」
「それでやな」
「そや、そやからな」
 それでというのだ。
「戦略とかな」
「考えだしてるな」
「そや、そっちもやろ」
「ああ、こっちもな」
 中里は自分が管轄している軍務省の話をした、二人は今軍務省の食堂でカレーを食べながら向かい合って話をしている。そこで芥川に話した。
「この通りや」
「早速やな」
「動いてる、しかもカレーも美味い」
「確かにな、このカレー美味いな」
 芥川もそのカレーを食べて言った。
「ご飯とルーが最初から混ぜてあってな」
「真ん中に生卵置いてな」
「かき混ぜて食べるけどな」
「これ大阪のカレーやな」
「自由軒な、この世界にあるからな」
「あの店な」
「他にも食いだおれもかに道楽もづぼら屋もな」
 こうした店もあるというのだ。
「金龍ラーメンもな」
「色々あるさかいな」
「それでこのカレーもや」
「軍務省でも食えるんやな」
「この通りな、ここは京都やが」
 政府の省は全て首都の京都に集められているのだ。
「しかしな」
「それでもやな」
「食える、それでこのカレーもな」
「美味いな」
「そや」
 まさにというのだ。
「この通りな」
「そういうことやな」
「そや、それで軍務省もな」
「動いてるな」
「そや、早速動きはじめて」
 そうしてというのだ。
「連合の軍事全体をな」
「動かしてるな」
「そうなってるわ、国が早速動いてるな」
「そやな、しかしな」
「しかし?」
「いや、太宰がおらんと」
 中里はカレーを食べつつ彼のことを思った。
「ここまではな」
「とても出来んかったな」
「そやろ、仕組みを考えて作ってな」
「動かすことはやな」
「こと政では太宰や」
 彼が第一だというのだ。
「日本の宰相やった時からそやったし」
「連合全体でもやな」
「ほんまにあいつがおらんかったらな」
 それこそというのだ。
「ここまではな」
「とてもなってへんな」 
 芥川も言った。
「やっぱり」
「そやからな」
 それでというのだ。
「太宰がおってこそや」
「まさに太宰が国の柱ってことやな」
「そう思うわ、あいつがおってこそ」
 まさにというのだ。
「今の十星連合があって」
「これからも動くな」
「そう思うわ、あれやは」
 中里は芥川にこうも言った。
「あいつは蕭何、そして大久保利通やな」
「二人を合わせたみたいなもんやな」
「そう思うわ、僕等やととてもな」
「ここまで出来んな」
「自分もそう思うか」
「ああ、政の大事さはわかっててもな」
 それでもとだ、芥川は中里に答えた。
「ここまではな」
「出来んな」
「絶対にな、しかもその功を驕らん」
「そのことも見事やな」
「つくづくな、しかし僕等もその太宰に乗っからず」
 そうしてとだ、中里は語った。
「やるべきことをやってかなあかんな」
「その通りや、国政ははじまったばかりや」
 芥川もカレーを食べつつ言う、生卵にソースを入れてそれでかき混ぜているカレーはこれまた実に美味い。
「言うなら明治維新のや」
「はじまりやな」
「僕等はそこにおるからな」
「これからやな」
「色々やってかなあかん、そやからな」
 それでというのだ。
「これからもな」
「頑張ってくな」
「そうしていこうな」
「ああ、わかったわ」
 中里は芥川の言葉に頷いた、そうしてだった。
 二人はカレーを食べつつ二人がやるべきことをお互いに話していった、建国された十星連合は早速動いていた。


第百八十五話   完


                2020・11・8 
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