八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百一話 昔ながらのゲームその十二
「手に入れていたから」
「そうよね」
「着るものも着ているものだけで」
「ボロボロよね」
「お家はバラックでね」
「そんな時代ね」
「だからそう言うだけで」
メリー=クリスマスとだ。
「他にはね」
「なかったわね」
「三杯飲んだら死にそうなお酒飲んでね」
これがカストリだ、このことから三号出して潰れるその時の雑誌のことをカストリ雑誌と呼んでいた。
「そうしながらだったよ」
「そんなクリスマスだったのね」
「その頃はね」
「そうだったのね」
「だからね」
僕はさらに話した。
「こうしてね」
「今みたいに色々あるクリスマスは」
「いいと思うよ」
それもかなりだ。
「本当にね」
「そうね、そうしたね」
「何もないクリスマスはね」
「私想像出来ないわ」
「サンタさんもいないんだ」
そしてツリーもだ。
「それこそね」
「何もなかったのね」
「そうだったんだ」
太宰が書いたその頃はだ。
「終戦直後でね」
「太宰って周旋して暫くして亡くなったわね」
「昭和二十四年にね」
六月十三日だ、遺体が見つかったのは十九日だった。
「自殺してるよ」
「それじゃあその作品も」
「大体昭和二十一年か二十二年か」
「その頃よね」
「美少年と煙草っていう作品でもね」
芥川の煙草と悪魔のモチーフだろうか、太宰は芥川を終生敬愛していてその作品にも影響が出ていても当然だ。
「終戦直後だったし」
「やっぱりそうよね」
「孤児の人達が煙草吸っていて」
「それを書いたの」
「そうした作品もあったしね」
太宰自身喫煙派だった。
「太宰は終戦直後の日本よく書いてるよ」
「その頃の人だから」
「本当にその頃は何もなくて」
それでだ。
「昭和天皇が巡幸されていて」
「丁度その頃ね」
「それで美空ひばりも出て来て」
その頃はまだ子供だった。
「手塚治虫もね」
「出て来たのね」
「昭和を象徴する人達が出た頃だったよ」
何もないその中からだ。
「そこで太宰はそういう作品書いていたんだ」
「そう思うと感慨あるわね」
「そうだよね、東京も何もなくなっていたし」
「神戸もよね」
「ここもね」
空襲の後でだ。
「そうだったよ」
「やっぱりバラックばかりね」
「そうだったみたいだよ、治安も悪くて」
「確かその時に山口組の」
「田岡組長が出てね」
「自警団みたいなのやってたのよね」
「あの人は確かにヤクザ屋さんの大親分でね」
このことは紛れもない事実だ。
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