八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百話 日本とクリスマスその五
「やっぱりね」
「努力してるのね」
「少しでも美味しいものを作ろうってね」
美味しいパスタをだ。
「だからだよ」
「美味しいのね」
「そうだよ、けれどテレビは努力してなくて」
そもそも全国の番組で真剣にやっていて東京のお店ばかり紹介したりしない、地方は東京に比べてかなり少ない。
「面白くない番組、嘘を吐く番組が増えて」
「駄目になったのね」
「努力しないと番組もね」
「面白くないわね」
「もう適当に」
それこそだ。
「バラエティ番組を出してね、適当にタレントさん集めて」
「それで番組やっても」
「面白い筈ないよ」
そんな筈がない、絶対に。
「だから皆テレビから離れてね」
「ネットに行ったのね」
「正直ユーチューバーの方が面白いから」
「ユーチューバーだと努力しないとね」
「面白い、観られる動画じゃないと」
それこそだ。
「観る人いないよ」
「そうよね」
「テレビみたいに適当に点けてたら観るとか」
「ないわね」
「それが最近はね」
ユーチューブの方がだ。
「面白いからその適当に点けてたらもね」
「なくなったのね」
「うん、例えば時代劇も減ったし」
かつてのゴールデンタイムの定番もだ。
「観たいって番組減ったし」
「時代劇って面白いの多いしね」
「勧善懲悪が基本でね」
「役者さんも演じてるし」
「それで面白い番組をって考えて製作しているから」
そんな適当なバラエティ番組よりずっとだ。
「だからね」
「面白いのよね」
「うん、それで何度も言うけれど努力は」
それはだ。
「しないとね」
「そうよね」
「それをしないとマスコミみたいになるよ」
「日本の」
「うん、落ちる一方だよ」
そうなると思う、それでだ。
僕達はそうしたことを話しながらだ、そのうえで百貨店を巡っていった。そうして皆で一緒に行った。その中で。
そのパスタ専門店に入った、二人でイカ墨のスパゲティとカルボナーラを注文した。すると香織さんはその二つのパスタを見て言った。
「ちょっとね」
「ちょっと?」
「思ったより多いわね」
「ああ、このお店のパスタはね」
僕はすぐに答えた。
「実は一皿で二人前あるんだ」
「そうなのね」
「一人前も注文出来るけれど」
それでもだ。
「基本はね」
「二人前なの」
「そうなんだ」
「じゃあ和風パスタ注文するつもりだったけれど」
「この後で」
「山菜とお醤油のね、けれど」
それはというのだ。
「もうね」
「しないんだ」
「二人前食べたら」
そのスパゲティをというのだ。
「お腹一杯だから」
「それでだね」
「もうね」
追加の注文はというのだ。
「いいわよ」
「そうするんだ」
「ええ、イカ墨とカルボナーラを食べて」
「終わりだね」
「そうするわ」
「それがいいだろうね、僕は食べられても」
「私はね」
香織さんは自分から言った。
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