八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十八話 クリスマスのはじまりその十三
「ちょっと」
「若くして亡くなるべきして亡くなった様な」
「そうした人ですね」
「他の人は違いますが」
「若くして亡くなった人でも」
「滝廉太郎にしましても」
明治の日本が誇る偉大な作曲家だ。
「作家ですと宮沢賢治や梶井基次郎、織田作之助は」
「どの人も結核でしたね」
「この人達が生きていればとです」
「思われますか」
「はい、ですがモーツァルトは」
この人はというと。
「どうしても夭折するべくしてした」
「そうした人ですか」
「そう思います」
「そうですか」
「ただ。幕末の志士の人達は」
この人達も夭折が多い。
「殆どの方が役割を終えてです」
「去っていっていますか」
「そう思います」
「そうですか」
「高杉晋作にしましても」
「あの人は若し長生きしていたら」
僕も思うことだ。
「お金の使い方が荒くて」
「公金を平気で使い込んでいました」
「そうでしたね」
「ですから長生きしますと」
結核、当時で言う労咳で亡くなっていないとだ。
「汚職等で揉めていたかも知れないです」
「その可能性がありましたか」
「橋本左内は生きるべきだったでしょうが」
安政の大獄で処刑されたこの人はだ。
「そして明治では伊藤博文公が」
「あの人が暗殺されていなかったら」
それもよりによって安重恨にだ。
「日韓併合はなかったかも知れないですね」
「そう思いますと」
「あの人も生きるべきでしたか」
「あそこでテロがなければ」
日韓併合の致命的な一撃になったあの事件がだ。
「併合は避けられたかも知れないですから」
「そうですよね」
「もう兵後は決まっていたという説がありますが」
「それでもですね」
「あのテロがなければです」
「そう思うと無念ですね」
「日本の歴史上最悪の失政でしたから」
思えば第二次世界大戦はせざるを得ない、運命的な戦争だったのだろうか。ただ歴史の流れ次第で日本は連合国側にいたかも知れないとも思う。
「私はそう思います」
「あのテロがなくてですね」
「伊藤公は死ぬべきではなかったです」
「あの人もですね」
「はい、ですが幕末からもっと言えば維新の人達は」
「死ぬべき時に死んだ」
「そうした人が多かったかと」
こう僕にお話してくれた。
「坂本龍馬も若しかして」
「あそこで死ぬべきでしたか」
「そうだったかも知れないです」
「そうなんですね」
「あの人も長生きしている姿が想像出来ないです」
畑中さんにしてはというのだ。
「どうも」
「そう言われますと何か」
「想像出来ないですね」
「僕もそうです」
不思議とだ。
「あの人についても」
「左様ですね」
「新選組の人達もですが」
何かこの組織の人達も年老いた姿や後のことが想像出来ない。
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