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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十八話 クリスマスのはじまりその十四

「もう一気に役割を果たして」
「世を去ったとですね」
「思えます」
「幕末から維新はそうした方が多いかと」
「不思議なことですね」
「日本の未来を築く為の礎となってくれて」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「役割を終えて」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「去られたのです」
「そうなんですね」
「そうした意味でも奇跡の様だったと思います」
「維新を果たせて日本が残せて」
「そしてです」
「それぞれの人が去るべき時に去れた」
「人は去り際もまた肝心です」
 真摯な言葉だった、これまで以上に。
「それを誤るとです」
「晩節を汚しますか」
「そうなります」
 実際にというのだ。
「そして老害とも言われます」
「嫌な言葉ですね」
「そうなりますので」
「去り際も大事で」
「その去り際が大抵の方が奇跡の様によかったのがです」
「幕末そして維新ですか」
「それぞれの人がどう思っていたかは別にして」
 まだやるべきことがあると思っていた人は多い筈だ、それで無念と感じて世を去っていたことは間違いないだろう。
「そうだったかと」
「高杉晋作もですね」
「そして吉田松陰も」
「あの人もですか」
「そもそも捕まる人ではなかったです」
「あまりにも主張と行動が過激で」
 他の国の船に乗り込んで連れて行ってくれとか無茶過ぎる、発言だけでなく行動が伴うことはいいことにしても。
「それで、です」
「捕まりましたね」
「安政の大獄はやってはならなかったですが」
「それでもですか」
「吉田松陰もです」
「あそこで、ですか」
「去るべきだったかも知れません」
 そうだったというのだ。
「あの人も」
「そうでしたか」
「若しあれ以上生きていますと」
「色々厄介でしたか」
「影響力が大きくなっていただけに」 
 長州藩の中でだ、松下村塾の弟子達を通じて。
「そうだったかも知れないです」
「若くして世を去りましたが」
「ですがその短い生で」
「やるべきことを果たして」
「世を去ったかも知れないです」
「あの人も」
 二十代であった、そう思うと驚く程若い。
「そうでしたか」
「はい、ただ」
「ただ?」
「私も橋本左内の死は後の伊藤博文公と同じく」
「死ぬべきではなかったですか」
「そう思います」
 こう僕にお話してくれた。
「あの人は」
「もっと色々なことが出来ましたね」
「井伊直弼は多くの罪を犯しましたが」
「橋本左内の処刑もですか」
「無論吉田松陰についてもです」
 死ぬべき時に死んだ人でもというのだ。 
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