八条学園騒動記
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第五百九十三話 正門に向かう途中その九
「宗教家としても素晴らしい」
「そんな人だったけれど」
「女性についてはな」
どうしてもというのだ。
「かなりのものだったという」
「そこが困ったことだったんだ」
「そうだった」
「ガンジーも人間だったんだね」
「そうなる」
「成程ね、ただね」
ロミオはアルフレドの話をここまで聞いてこう言った。
「別にね」
「別に?どうした」
「いや、マウリアっていうとヒンズー教だから」
ロミオはこの宗教のことから話した、尚ガンジーは極めて敬虔かつ真面目なヒンズー教徒だったことでも知られている。
「別に女の人が好きでも」
「カーマストラだな」
「いいんじゃないかな」
「そうした考えも出来るな」
「そうだよね」
「そうだな」
「いや、ちょっとそれって」
ビアンカがガンジーのその話を聞いて言った。
「よくないでしょ」
「女の人が好きでも」
「そのカーマストラって」
「かなりいやらしい本でもあるよ」
「そうでしょ、そんな本はね」
どうしてもというのだ。
「よくないし」
「そうかな」
「おおっぴらに女好きっていうのは」
「おおっぴらでないといいんだ」
「まあね、そうしたことはやっぱり二人だけのことで」
顔を赤くさせて話した。
「お付き合いしてね」
「それでなんだ」
「おおっぴらにはね」
「けれどあっちではそうだから」
「ヒンズー教ではなの」
「そうしたことは認められているから」
それでというのだ。
「ガンジーもね」
「いいのね」
「そうなるよ」
「そうなのね」
「だからガンジーが女好きだったとしても」
それでもというのだ。
「いいんだよ」
「そうなのね」
「僕はそう思うよ」
「私は別にいやらしい本は否定しないけれど」
ビアンカは自分の考えも話した。
「あからさまにおおっぴらなのはね」
「嫌なんだ」
「抵抗があるのよ」
「恥ずかしいんだね」
「そうしたことはあくまでね」
「二人だけのことだね」
「ええ、そう考えているから」
こうロミオに話した。
「そうなんだね、ビアンカは」
「ええ、けれどガンジーはそうだったのね」
「女性についてはそうだった」
アルフレドはビアンカに話した。
「晩年に至るまでな」
「ううん、女性にも清潔じゃないのね」
「むしろ全く正反対の評価のヒトラーの方がだ」
「女性にはだったの」
「清潔だった、しかもかなりな」
「そういえばあの人そうしたお話聞かないわね」
「愛人はいたが」
有名なエヴァ=ブラウンである。
「その存在を知っている人は少なかった」
「公然とした関係じゃなかったのね」
「側近ですら知らない人がいた」
ヒトラーの側にもいて彼とよく意見を衝突させたグーデリアンもそうだった、自伝でそう書き残している。
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