恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその十
「この事態は」
「ううむ、ここは様子を見るべきかのう」
タンはその長く伸びた眉の下の目を考えるものにさせている。
「話がさらにわからんようになった」
「おい、話は聞いたぜ」
ホア=ジャイがここで来た。彼は今まで偵察に出ていたのだ。
それでだ。首を傾げさせながらだ。仲間達に言うのだった。
「あの怪しい大臣さんにまた怪しい話なんだな」
「ああ、そうさ」
「妹登場さ」
「しかも二人だ」
ビリーにダック、マイケルが彼に話す。
「そうビッグベアにも伝えてくれるか?」
「あいつも戻ってきてるんだよな」
「そうだな」
「ああ、ここにいるぜ」
そのビッグベア本人が出て来て彼等に応える。
「本当に謎が謎を呼びになってるな」
「俺の考えはな」
ホアは鋭い目で仲間達に話した。
「ここは用心してな」
「様子を見るか」
「そうすべきか」
「訳がわからなくなってきたからな」
だからだとだ。ホアも言うのだ。
「下手に動いたらまずいだろ」
「少なくともあの大臣さんは俺達の味方じゃねえな」
ダックは本能的にこのことを察していた。
「敵だと思っていいな」
「ああ、そうだな」
ビリーもダックの今の言葉に真剣な顔で頷く。
「ありゃ敵だな」
「オロチと関わりがあるか」
リチャードは真剣にこのことを疑っていた。
「そんな筈はないと思うが」
「気配は似ておる」
タンはそこから指摘する。
「あの戦いで感じたものとな」
「ああ、そっくりだな」
ビッグベアはタンのその言葉ニ頷いて述べた。
「不気味なところなんて特にな」
「ならば余計にじゃ」
そのオロチと似たものを感じるからこそだとだ。タンは話すのである。
「ここは様子見じゃ」
「よし、それじゃあな」
「曹仁さん達ともそれを話すか」
こうしてだった。彼等も今の方針を決めたのだった。そしてだ。
彼等の言葉を聞いてだ。その曹仁達もだった。
自分達の天幕の中で卓を囲んでだ。こう話すのだった。
「そうね。やっぱりね」
「ここはね」
「様子を見て」
「下手に動かない方がいいわ」
結論はこれだった。
「さもないとおかしなことになるわね」
「どうも。あちらもそれを狙っているみたいだし」
「それなら」
こうしてだ。彼女達は今は動かずに様子を見ることにした。それを見てだ。
司馬尉は楽しげに笑ってだ。己の兵達に話すのだった。
「狙い通りね」
「はい、これでですね」
「あの者達は動けません」
「よいことです」
「そう。こちらから何かをせずに」
向こうからだというのだ。
「動きを止めてくれたからね」
「これでこの戦はですね」
「非常にやり易いですね」
「私達の思うがままの」
闇の如き深い笑みを浮かべ。司馬尉は言った。
「ではそうしましょう」
「はい、司馬師様と司馬昭様が来られ」
「そのうえで」
「楽しみだわ。あの娘達と久し振りに会えるのね」
今度はこんなことを言う司馬尉だった。
「さて、元気かしら」
「おそらくは。そうかと」
「ではその時を待ちましょう」
「姉妹の再会を」
こうだ。司馬尉は兵達と話だ。闇を見るのだった。どす黒い闇の中で。
第九十三話 完
2011・7・9
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