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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその九

「その通りよ」
「あの、司空殿」
 曹洪は戸惑う調子で彼女を官位で呼んで問うた。
「宜しいでしょうか」
「妹達のことね」
「はい、御言葉ですが」
 その存在を急に聞いてだ。曹洪も驚きを隠せなかったのだ。
 それでだ。彼女は問うたのである。
「おられたのですか」
「言っていなかったからね」
「だからですか」
「知らないのも無理はないわ」
 そうだとだ。司馬尉は悠然とした笑みをそのままに話すのである。
「そのこともね」
「ですか」
「名前を言うわね」
 妹達のその名前も話す。
「司馬師と司馬昭というのよ」
「それがお二人のですか」
「御名前ですか」
「覚えておいてね」
 やはりだ。誰もがはじめて聞く名前だった。
「その彼女達をこの軍に呼び」
「そしてですね」
「司空殿の補佐を」
「そうしてもらうから。宜しくね」
 こうだ。曹仁達に話すのである。
 このことを伝えてからだ。司馬尉は彼女達を己の天幕から下がらせた。四人は自分達の陣に戻りながらだ。こんなことを話す。
 まずは沮授がだ。いぶかしむ顔で言った。
「初耳です」
「そうね。私もよ」
 田豊もだ。驚きを隠せない顔だった。
「司馬尉殿に妹君がおられたとは」
「聞いていません」
「そうよね。しかも二人なんて」
「聞いたこともないわ」
 曹仁と曹洪もだ。同じだった。
「司馬家は名門だというのに」
「妹君達の存在が今までわからなかった」
「これはどういうことなの!?」
「そのことさえはっきりしていないなんて」
「わかりません」
「本当に」
 袁紹が誇る軍師二人にしてもだ。それは同じだった。
「一体どういうことなのか」
「偽りではないようですし」
「確かに。司馬家はね」
「謎に包まれた家みたいね」
 それでもだ。このことはわかった彼女達だった。
「どういう家なのか誰も知らない」
「そのことだけはわかったわね」
「そうですね。そのことだけはです」
「それはわかりました」
 袁紹の軍師二人もそのことはわかった。しかしだ。
 その謎に包まれた司馬家についてはというと。
「あの、これは」
「是非共です」
「ええ、そうね」
「すぐに華琳様達にお伝えしましょう」
 名門であればあるだけその家系はわかっている筈なのだ。しかし妹達の存在さえわからなかった。司馬家のその不可思議さをだというのだ。
「司馬尉仲達、それにしても」
「本当に何者なのかしら」
「はい、余計に得体が知れなくなりました」
「不気味なことに」
 こうした話をしてだった。彼女達は己の天幕に戻るのだった。そしてだ。四人からその話を聞いたビリー達もそれぞれ言うのだった。
「おいおい、さらに怪しくなってきたな」
「何だよそれ妹登場かよ」
 ビリーもダックも引きつった笑みで言う。
「何かよ。これってよ」
「謎が謎を呼びってやつだよな」
「というかどういう家だ?」
 マイケルはその司馬家について言及した。
「妹達の存在が今までわからなかったなんてよ」
「訳がわからないな」
 リチャードも真剣な顔で話す。
 
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