| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその八

「あの匂いはたまらないわ」
「そしてその血がですね」
「戦においては」
「美味なるもの。では」
 どうするかというのだ。
「それを思う存分味わいましょう」
「はい、では今より」
「妹様達も御呼びして」
「それと」
 さらにと。司馬尉は言葉を加えた。
「あの目付けの娘達だけれど」
「曹操や袁紹が送り込んでいるあの四人ですね」
「あの者達はどうされますか?」
 兵達は彼女達をどうするかも訪ねた。
「やはりここは」
「毒で」
「いえ、それはしないわ」
 毒やそうしたことはだ。しないというのだ。
「今はね」
「ではこの戦においてはですか」
「放っておきますか」
「どうせ私達のことはわからないのだから」
「泳がせておきますか」
「無駄に」
「そうさせるわ。ただし」
 それでもだとだ。司馬尉はここでこうしたことも言った。
「あの娘達にはこの戦では」
「見ているだけにさせる」
「そうさせますか」
「ええ、楽しみは独占させてもらうわ」
 また妖しい笑みを浮かべて。司馬尉は言う。
 己の席に座っている彼女は右手にあった銀の杯の中のだ。赤い葡萄酒を飲みそこからまた兵達に話をするのであった。
「美味は私達だけでね」
「だからですね」
「そのうえで」
「ええ。外に除けておくわ」
 戦には関わらせない、その考えは決まっていた。
 そのうえでだった。こうも言うのだった。
「ただ」
「ただ?」
「ただといいますと」
「面白いことを考えたわ」
 ここでこんなことも言ったのである。
「一つね」
「一つといいますと」
「何をされるおつもりですか?」
「一体」
「あの娘達。あちらの世界の住人達にも」
 ビリー達のこともだ。把握しての言葉だった。
「見せてあげるわ」
「見せるとは」
「それは」
「芸術よ」
 ここでだ。芸術と言う司馬尉だった。
「それを見せてあげるわ」
「ふむ。それではです」
「戦の後で、ですね」
「それを見せるのですね」
「あの者達に」
「そうするわ。それではね」
 こう話してであった。司馬尉は。
 次の日己の天幕に曹仁達を集めてだ。こう告げるのだった。
「妹達を呼ぶわ」
「妹!?」
「妹といいますと」
「おられたのですか!?」
「それも御一人ではなく」
「ええ、そうよ」
 その通りだとだ。司馬尉は自分の目の前に立つ彼女達に悠然と笑って答える。今座っているのは彼女だけである。己の席に座っているのだ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧