八条学園騒動記
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第五百九十三話 正門に向かう途中その一
正門に向かう途中
ロミオは喫茶店が終わるとすぐに今回の文化祭の出入り口である高等部の正門に行くことにした、それでだった。
店が終わると実際に行こうとしたがそこでアルフレドとビアンカに言われた。
「僕達も行く」
「同行させてもらうわね」
「ビアンカはどんな場所か知ってるよね」
自分に話してくれたからだとだ、ロミオはビアンカに顔を向けて問うた。
「もう」
「もう一度見てみたくなったのよ」
「それでなんだ」
「一緒に行きたいの」
「そうなんだ」
「そう、いいわよね」
「それじゃあね」
ロミオは断らずに返した。
「宜しくね」
「僕も行きたいと思ってだ」
今度はアルフレドが言ってきた。
「それでだ」
「言ってきたんだ」
「そうだ、では三人で行こう」
「それじゃあね」
こうしてだった。
三人で正門の方に向かった、途中の校舎や中庭の店はどんどん閉まっていっていた。ロミオはそれを見て言った。
「また明日だね」
「そうだな、もう店じまいだ」
「それで今日は終わりでね」
二人もロミオのその言葉に応えた、その様子を見ながら。
「またね」
「明日お店を開くな」
「そうだね、これで終わりじゃないから」
だからだというのだ。
「また明日だね」
「文化祭が終わる時は」
ロミオはその時のことも話した。
「もうね」
「完全にお店畳むからね」
ビアンカはロミオに話した。
「ただ今はね」
「中断でね」
「また明日ってなるね」
「そうだよね、この感じがね」
どうかとだ、ロミオはそのビアンカに言った。
「僕好きなんだ」
「また明日っていうのが」
「明日があるっていいじゃない」
「今日が終わって」
「それでまた明日っていうのがね」
「それが好きなのね」
「だってね、楽しい今日が終わって」
そしてというのだ。
「明日も楽しいとね」
「余計にいいのね」
「そして今日が嫌な日だったとしても」
そうであってもというのだ、人間生きているとどうしてもそうした日もあるからだ。このコトハロミオも同じなのだ。
「明日はね」
「いい日だって思うと」
「それならね」
「希望が持てるわね」
「そう、明日は希望だから」
ロミオはそう考えているからだというのだ。
「また明日っていう感覚がね」
「好きなんだ」
「そう、ただね」
「ただ?」
「若し明日が来るのが嫌っていう人がいたら」
ロミオはそうした人のことを暗い顔で話した。
「悲しいね」
「希望がないってことだから」
「明日また嫌な日になるって思ったら」
「それだけでっていうのね」
「悲しいことだよ」
「未来に絶望しているとだ」
アルフレドもロミオに応えて言ってきた。
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