八条学園騒動記
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第五百九十三話 正門に向かう途中その二
「確かにな」
「悲しいことだね」
「僕もそう思う」
こうロミオに答えた。
「実際にな」
「そうだよね」
「明日は希望でないとな」
「駄目だよね」
「本当にそう思う」
「若し希望が持てないなら」
ロミオはさらに言った。
「こんな残念なことはないからね」
「希望は常にある」
こうもだ、アルフレドは言った。
「ギリシア神話でもあるな」
「エウロパのね」
「この世には様々な災厄があるが」
パンドラの箱に封じ込められていたものが世に出たのだ、そしてその箱の中に希望が残っていたのだ。
「しかしだ」
「希望はあるね」
「どんな災厄も希望には勝てない」
「そうだよね」
「それだけ希望は素晴らしいものだ」
「その希望がないとね」
「こんな悲しいことはない」
アルフレドは言い切った。
「本当にな」
「そうだよね」
「だからロミオの言うことは正しい」
「そうだよね」
「人はどうしても絶望する時もあるが」
それでもというのだ。
「出来るだけだ」
「絶望しないことだね」
「それが一番だ」
それに尽きるというのだ。
「本当にな」
「その通りだよね」
「本当にまた明日だ」
「うん、また明日ね」
「皆で楽しめばいい」
「この文化祭をね」
「映画の上演も多いしな」
学園の中の視聴覚室を使ってそうしているのだ。
「そちらも楽しめる」
「そっちは夜もやってるのよね」
ビアンカは笑って言った。
「映画の方は」
「そうそう、色々な映画をね」
「私の観たい映画もあるし」
それでというのだ。
「ちょっとね」
「観に行くんだ」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「お酒も持っていくわ」
「飲みながら観るんだ」
「ええ、ビールを持って行っておつまみはね」
「何かな」
「ピーナッツね」
これだというのだ。
「これをね」
「食べながらだね」
「そしてね」
「映画観るんだね」
「映画はやっぱりお酒と一緒に観るのがいいわ」
「酔ってわからなくならない?」
酒が回ってとだ、ロミオはビアンカに問うた。
「そうならない?」
「いや、別にね」
「ならないの」
「もう酔っても」
「それでもなんだ」
「面白い映画は頭に入るじゃない」
こうロミオに話した。
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