八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十六話 クリスマス前日その五
「それはないよ」
「そうですよね」
「僕の知る限りだと」
「けれど若し思われたら嫌ですね」
「違うってすぐに言うよ」
その時はだ。
「それは」
「そうですね」
「うん、というかね」
日本人から見ればだ。
「もうね」
「源氏物語も平家物語も」
「日本のものとしかね」
「思えないですね」
「どう見たって中国じゃないよ」
当時は宋代だ。
「それで間違えるとか」
「ないですね」
「日本と中国を少し知っていたら」
その文化をだ。
「わかるよ」
「だからですね」
「普通は間違えないと思うよ」
僕としてはだ。
「流石にね」
「まあそうですね」
「やっぱり間違えないよね」
「はい、それでこれがメキシコだとです」
「間違えないね」
「そうです、アメリカとメキシコだと」
この二国を比べるとだ。
「間違えないです」
「メキシコも目立つ国だしね」
「服装もそうですし」
「言葉も違うしね」
アメリカは英語そしてメキシコがスペイン語だ。このそれぞれの違いがはっきりしているのだ。
「文化も」
「かなり違いますから」
「それではっきりとね」
「間違えられないですが」
「アメリカとカナダな」
「違うんですよ」
この二国はというのだ。
「本当に」
「そうなんだね」
「はい、ですが」
「それがなんだね」
「どうもカナダ自体が地味で」
そのせいでというのだ。
「カナダを知ってもらえてなくて」
「それでなんだ」
「もう赤毛のアンも」
カナダが誇るこのシリーズもというのだ。
「アメリカだって間違える人がいます」
「難儀な話だね」
「赤毛のアンは本当にです」
キートン君は心から言った。
「カナダの作品です」
「カナダの人が書いたね」
モンゴメリーだ、女流作家で三十七歳と当時ではかなりの晩婚だったことでも知られている。何か一次大戦でアメリカの批判もしていたらしい。
「カナダを舞台とした」
「カナダの作品です」
それは確かだというのだ。
「本当に」
「そこは間違えないことだね」
「そうして欲しいです」
「その辺り難しいね」
「はい」
本当にというのだ。
「アメリカの個性が強過ぎてカナダが地味で」
「その地味さがなんだ」
「困っています、目立ちたいですね」
カナダ人としてはだ。
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