八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十四話 決断その六
「そして最後の最後まで、です」
「彼を支持していましたね」
「そうでした」
「ヒトラーがドイツを救ってくれたので」
「はい、確かに私はヒトラーは否定しています」
その政策も思想もというのだ。
「しかし一度はドイツを救ったことと」
「私人の生活はですね」
「否定しません、私人のヒトラーは」
第二次世界大戦を引き起こし多くのユダヤ人やロマニの人達、障害者、そしてスラブ系の人達を殺してもだ。
「極めて真面目でした」
「そうした人でしたね」
「そのことは事実です」
「痛風にもならない様な」
「はい、ただケーキが好きでしたね」
「大好物だったそうですね」
そしてチョコレートもだ、本当に甘党だったのだ。
「どうも」
「ケーキは生クリームを多く使うので」
「コレステロールが溜まりますね」
「ですから」
それでだ。
「痛風にはよくありません」
「そうでしたね」
「ドイツはケーキの本場ですが」
ケーキ発祥の国と言っていい。
「この食べものからもです」
「痛風が怖い国ですね」
「そうなります」
「本当に痛風に祟られる国ですね」
「ですがやはりビールがです」
何気に甘いジュースも危ないと聞いている。
「最もよくないので」
「それを殆ど飲まないヒトラーはですね」
「それだけ痛風の危険がないです」
「そうなんですね」
「とにかく私生活は真面目で」
そうした人でだ。
「批判されることのない人でした」
「贅沢もしなかったですしね」
趣味は読書と音楽鑑賞だった、どんな難しい本も読破出来て音楽はワーグナーをこよなく愛していた。
「権力を使って美術品の収集はしていても」
「それ位でしたね」
「そうでしたね」
「だから今も批判されていますが」
それでもだ。
「隠れファンという人もです」
「いますね」
「それも結構」
「それは事実みたいですね」
「だから悪役としても出ます」
「魅力があることも事実ですね」
ヒトラーそしてナチスにだ。
「ドイツ国民も熱狂的に支持しましたし」
「何故支持されたか」
「何の魅力も能力もなく支持されるか」
「最初からそれはないですね」
「そうです、その私生活もです」
「その魅力の一旦ですね」
「そうかと。まあとにかくヒトラーはお酒も飲みませんでした」
側近がワインを飲んでいるのを見て驚いた程だ。
「ビールも殆ど」
「ドイツ人なのに、ですね」
「そうです」
正確に言えばオーストリア生まれだ。
「そのことは事実です」
「僕もそこは見習わないといけないかも知れないですね」
ビールを飲みながら思った。
「若しかして」
「ビールを飲まれるからですね」
「はい、何か飲めば飲む程です」
今はだ。
「止まらないです」
「おつまみはあまり召し上がられていませんね」
「何か今は」
どうにもだ。
「お酒、ビールをです」
「飲まなくてはですね」
「いられなくて」
どうしてもだ。
「それで、です」
「飲まれますね」
「はい」
言いつつも飲む。
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