ヘタリア大帝国
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TURN46 王女アルビルダその三
「そして太平洋はだ」
「日米中ね」
「インドに。マダガスカルに逃れたオフランスだな」
この五国だというのだ。太平洋側にいると予想されるのは。
「しかしそれでもだ」
「勝てるわね」
「自信はある。必ずドクツが世界を統一する」
レーティアは確信と共に言い切る。
「私が祖国君と国民達を導く」
「その栄光の場所にね」
「それが私の義務なのだから」
こう話してだった。レーティアはこれからのことも見ていた。
ドクツも戦いの準備に再び入っていた。その中でだ。
ヒムラーjは暗室の中にいた。その部屋の中はまるで闇しかない様だった。そこには闇以外には何も見えない。
ヒムラーはその闇の中に浮かんでいる様に見える。その彼にだ。
怪しい暗黒の色のフードを被った者達が前に来てそのうえで言ってきた。
「見つけました」
「やはりありました」
「この北欧にです」
「眠っていました」
「そうか。予想通りだな」
そう聞いてこう彼等に返したヒムラーだった。
「それは」
「はい、そうですね」
「古代の文献にあった通りです」
「この北欧にあれが眠っていました」
「あの大怪獣が」
フードの者達も言う。
「それならばですね」
「すぐにあの大怪獣を掘り起こし」
「東部戦線に持って行きますか」
「そうしますか?」
「ははは、馬鹿を言ったらいけないよ」
ヒムラーは軽く笑ってフードの者達に答えた、
「何でそんなことをするんだい?」
「ソビエトとの戦いに使うのではないのですか?」
「その為に掘り起こしたのでは」
「違うのですか」
「俺はドクツの人間じゃないさ」
既にそうなっているというのだ。
「わかるよな。それは」
「はい、今や我等の法皇です」
「そうなられています」
「そう。俺はこの教団の主なんだ」
それが今の彼だというのだ。ノイツィヒ=ヒムラーだと。
「ドクツの人間じゃないさ」
「だからこそですか」
「あれはドクツの為には使わない」
「そう仰るのですか」
「如何にも」
ヒムラーは得意げに返す。
「その通りさ」
「ではあの大怪獣は、ですか」
「今はそのままですか」
「使わずに置いておく」
「眠らせておきますか」
「ドクツが勝てばそれでよし」
ヒムラーは第三者の目で語る。
「そしてソビエトが勝ったとしても」
「それはそれで、ですか」
「いいのですね」
「その通り。俺はドクツの人間でもソビエトの人間でもないからね」
それ故にだというのだ。
「何が起こっても平気さ」
「我等の教団が健在ならばですね」
「それで」
「まあ。あの娘がいてもいなくてもドクツを乗っ取るつもりだし」
暗室の中だからこそ本音を言うヒムラーだった。それはかつての親友のロンメルすら見たことのない顔だった。
「カテーリンというお嬢ちゃんにしてもね」
「相当な娘だと聞いていますが」
「極めて厳格かつ苛烈な」
「何、俺にはこれがあるさ」
ヒムラーはここでは己の両手をそれぞれの手でさすった。手袋で包まれているその手を。
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