八条学園騒動記
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第五百八十六話 服と見せかけてその十二
「むしろ勝海舟以上にな」
「そこまでだったんだな」
「ああ、この人にもな」
「俺達は勝てないか」
「体格は圧倒的でもな」
それでもというのだ。
「頑丈さが違うしな」
「頑丈さもか」
「ああ、昔は医学が発達していなくてな」
「身体が弱いとすぐに死んだんだったな」
「子供のうちにな」
「そういえばな」
フックは気付いて述べた。
「昔はそうだったな」
「子供はすぐに死んだな」
「はしかになったりしてな」
「あれですぐに死んだな」
「他にもちょっとしたことでな」
それこそ風邪等些細な病気でだ。
「子供は死んだな」
「だからな」
「頑丈でないとか」
「すぐに死んでいたからな」
子供のうちにというのだ。
「大人になる人は頑丈で鍛えられていてな」
「それでか」
「皆強くてな」
「俺達だとか」
「もう全然な」
マチアはフックに真顔で話した。
「勝てなかったさ」
「そうだったんだな」
「体格はこっちの方が圧倒的でもな」
「頑丈さは違うか」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「摂ってる栄養はな」
それはというと。
「俺達の方がな」
「ずっといいな」
「ああ、だからその分健康なのはな」
「事実か」
「栄養状態が悪くてな」
昔の人はというのだ、国によって違うが二十世紀から二十一世紀にかけてまでは多くの人がそうであった。
「結核にもなっていたんだよ」
「あの病気か」
「あの病気は栄養状態が悪いとなりやすいな」
「ああ」
「それでな」
「結核になる人も多かったんだな」
「確か昔はあれよね」
アロアも言ってきた。
「結核になったらお薬なかったから」
「もう助からなかったんだよ」
「そうよね」
「だから結核でな」
マチアはこの病気の話もした。
「沢山の人が死んでるんだよ」
「私達が今いる日本でもよね」
「高杉晋作さんもな」
幕末の志士のこの人物もだったのだ。
「それで若くして死んでいる、沖田総司さんもな」
「新選組の」
「新選組で一番強かったとも言われてるけれどな」
この時代でもこのことについては諸説あり定まっていない。
「二十四歳でな」
「滅茶苦茶若いわね」
「亡くなってるんだよ」
「そうなのね」
「高杉さんも二十八歳だった」
「やっぱり若いわね」
「けれど結核でな」
この病でというのだ。
「亡くなっている」
「それで他にも」
「沢山の人がな」
「結核で死んでるのね」
「もうなるとな」
その時点でというのだ。
「終わりだったからな」
「それは怖いわね」
「それでだな」
フックも言ってきた。
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