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八条学園騒動記

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第五百八十六話 服と見せかけてその十一

「どうもな」
「そうよね」
「勝海舟は一五〇なかった」
「大人の男の人で」
「一四九だったらしい」
「今じゃ子供ね」
「女の人でも大人になるとな」
 この時代での連合ではだ、食生活が特に影響しているが混血の結果であるとも言われている。連合ではここからも混血はよしとされている。
「一八〇が普通だからな」
「それじゃあね」
「もうな、一四九だとな」
「子供並ね」
「それが普通だったからな」
 勝海舟位でというのだ。
「当時の日本人は」
「とにかく小さかったのね」
「今から見るとな」
「そうなのね」
「そして確かに日本人は小さかったが」
「他の国の人達にしても」
「今の俺達から見ればな」
 そうすると、というのだ。
「小さい」
「エウロパの連中にしても」
「ベートーベンで一六五だったらしい」
「滅茶苦茶小さいな」
 フックは連合の平均から話した、大体八百年前から平均身長はそうなっていることから言うのだった。
「それはまた」
「そうだな」
「俺達から見るとな」
「それでも当時はな」
「普通だったんだな」
「ああ、それだけの背でな」
 一六五でというのだ。
「今じゃ子供の大きさでもな」
「そうか」
「古代のローマ人も平均は一六〇だったらしい」
「やっぱり小さいな」
「そして十九世紀の日本人はな」
「もっと小さかったんだな」
「しかし強かった」
 体格はそれでもというのだ。
「武士でな」
「俺達よりもか」
「遥かにな」
 武士の強さはこの時代の連合では伝説になっている、鬼の様に強く桁外れの倫理観を持っていた者達だとだ。
「そうだった」
「体格の問題じゃないか」
「それがあってもな」
「それを凌駕する強さか」
「それが当時の武士にはあってな」
 そうしてというのだ。
「強かった」
「そういうことか」
「勝海舟も強かったらしいしな」
「あれよね、免許皆伝で」
 アロアが言ってきた。
「毎日十一キロの木刀を千回は振ってたって」
「化けものか?」
 フックはその話に本気で言った。
「それは」
「だからそこまでね」
「強かったんだな」
「身体は小さくてもね」
「そうだったんだな」
「ビスマルクにも勝ったかもね」
 決闘になればというのだ。
「あの人だと」
「そうかも知れないな」
「体格差五十センチ以上で」
「それで勝ったら本当に凄いな」
「今の俺達は当時の日本人には絶対に勝てないぞ」
 マチアは言い切った。
「格闘になったらな」
「やっぱりそうか」
「鬼みたいに強かったからな」
「勝海舟にしてもか」
「その親父さんも強かったらしい」
 勝小吉という、かなりの無頼の人だったという。 
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