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八条学園騒動記

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第五百八十六話 服と見せかけてその十三

「なった人が出たらその家族もな」
「結核、労咳筋と言われてな」
「差別されていたな」
「そうだった」
「嫌な話だな」
「伝染病ではよくある話だな」
「今もあるからな」
 人類はこの偏見からまだ脱却出来ていない、感染症から来る偏見はどうしても存在しているのである。
「だから昔の人が馬鹿だったかっていうとな」
「違うな」
「ああ、人間は今もな」
 この時代でもというのだ。
「進歩がないな」
「嫌な話だな」
「本当にな、それで昔は結核でもな」
 この病気でもというのだ。
「よく死んでいて子供はな」
「特にだな」
「すぐに死んでな」
 それでというのだ。
「そこから生き残る人はな」
「頑丈だったんだな」
「ああ、だからな」
「俺達が戦ってもか」
「負ける」
 絶対にというのだ。
「そうなる」
「そうなんだな」
「そこで鍛えていたからな」
「勝海舟も強かったんだな」
「ああ」
「それも相当にか」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「喧嘩はな」
「したら負けるな」
「絶対にな」
「そうだな」
「鬼みたいに強いからな」
「しかも親父さんの方が強かったか」
「一日三回は喧嘩してな」
 そうした話が実際にある、とにかく江戸の中を歩き回って喧嘩を求めていたのだ。
「趣味は道場破りだったらしい」
「それが趣味か」
「好きなのは遊びでな」
 それでというのだ。
「嫌いなことは働くことだった」
「ザ=屑?」
 アロアはここまで聞いて勝小吉についてこう述べた。
「それって」
「働かないで遊んで喧嘩ばかりだからか」
「それも大人になってもよね」
「子供が出来てもな」
 その子供こそ勝海舟だった。
「そうだった」
「働かないでなの」
「死ぬまでそうしていた」
「どうして生計立ててたの?」
「御家人だったから幕府から禄があった」
「それで暮らしていたの」
「ただその禄はかなり少なくてだ」
 それでというのだ。
「家は貧乏のドン底だった」
「そりゃ働かないからね」
「そうなっていたのはわかるな」
「碌があっただけましね」
「ああ、だが一生働かなかった」
「遊びと喧嘩ばかりで」
「それで人生を過ごした」
 マチアはここまで話した。 
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