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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十二話 行く場所その六

「カラーばかりにです」
「なったんですね」
「昭和四十年には白黒でも」
 それでもというのだ。
「昭和四十一年にはです」
「カラーですか」
「そうなっていました」
「本当に変わったんですね」
「そうです」
「あっという間にですか」
「そうなりました、ですが」
 畑中さんは僕にこうも話してくれた。
「昭和三十年代程です」
「四十年代は、ですか」
「心躍るものはなかったとです」
「思われますか」
「はい」
 こう僕に話してくれた。
「私としては」
「三十年代より豊かになっても」
「オリンピックを経て」
 そしてというのだ。
「そうしてです」
「その後で、ですね」
「四十年代に入ってです」
「もうかなり豊かになって」
「それでいい時代になった筈ですが」
 それがというのだ。
「どうもなのです」
「三十年代よりはですか」
「心躍るものがなく五十年代は」
「その頃はですか」
「落ち着いていて四十年代よりよかった」
「そう思われますか」
「兎角四十年代はです」
 この頃はというのだ。
「カラーテレビが普及しクリスマスもです」
「それもですね」
「賑やかになったのですが」
「それ自体はいいことですね」
「学生運動があったせいか」
「ああ、あれですね」
「愚か者達の喧騒でした」
 学生運動、それはというのだ。
「ただ単なる」
「マルクス主義を言う」
「赤軍派や革マル派や中核派がいましたが」
「その違い何なんですか?」
 僕は学生運動のその団体について畑中さんに尋ねた。
「そもそも」
「思想や行動の違いですね」
「それはあるんですか?」
「ないかと」
 返事は一言だった。
「私が思いますに」
「そうですよね」
「はい、彼等が言うには全く違いますが」
「その実はですね」
「ほぼです」
「同じですね」
「結局同類なので」
 革命だとか言って暴力を平然と振るって民主主義とか平和とか人権とか言う、正直おかしいのかと思う。
「そう言い合ってです」
「争っているんですね」
「革命を行うよりも」
 暴力革命だから願い下げだ。
「まずはです」
「お互いにですね」
「争ってです」
「殺し合っていたんですね」
「彼等は民主主義なぞです」
「ないですね」
「そしてまともな知性もです」
 それもというのだ。 
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