夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百六十二話 日本に近付きその一
第百六十二話 日本に近付き
フルルはこの時風呂から上がったばかりだった、風呂から出てエルドラドにある塔の一つの屋上に上がっていたが。
その屋上から空を見上げつつこんなことを言った。
「このまま昼寝もええけど」
「せんのか」
「今寝たら」
共にいるダリーオに話した。
「ここは涼しいから」
「風邪ひくか」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「止めておくわ」
「そうか、ほなな」
「今は涼んで」
そうしてというのだ。
「自分の部屋に戻るわ」
「お風呂上がりこそ気をつける」
セプルベダも言ってきた、屋上には彼もいてそれで席に座って話しているのだ。
「そうせなな」
「それな、私は氷の精霊やけど」
この種族であるがとだ、フルルはセプルベダにも話した。
「それでもな」
「風邪はひくな」
「ひくで」
実際にというのだ。
「それはな」
「そうやな」
「どんな種族でも風邪はひく」
フルルは真面目な顔で述べた。
「そしてそこから他の病気にもなる」
「風邪は万病の元やな」
「この世界でもな」
「そういうことやな」
「そやからな」
「風邪には気をつけてるか」
「それで身体が弱ったら」
どうなるかもだ、フルルは話した。
「戦闘にも支障きたすからな」
「ムングワにも負けるな」
ダリーオは笑ってこの獣の名前を出した。
「そやな」
「それ出すか」
「自分タンザニア生まれやからな」
「いや、私ムングワ見たことないから」
フルルはダリーオに眉を曇らせて答えた。
「こっちの世界でも」
「ないんか」
「ないで、というかあれほんまにおるん」
「おるから目撃例あるんやろ」
「実際は豹ちゃう?」
フルルはこの世界にもいるネコ科の猛獣の名前を出した、この獣はこの世界でもかなりの分布地域を誇っている。
「ムングワって」
「豹やろか」
「そやろ、というか目撃例って一つだけやろ」
「あの警官が襲われて殺されたっていう」
「一九三〇年代のな」
タンザニアがまだイギリス領だった頃のことだ。
「起きた世界やと」
「それでこっちの世界でもか」
「数少ない獣やから」
それでというのだ。
「私見たことないで」
「そやねんな」
「ジオンゴは見たことあるって言うけど」
ケニア出身で獣ヶ原を拠点としている彼はというのだ。
「それでもな」
「自分はないか」
「まだな」
「そやねんな」
「水ライオンはあるけどな」
この獣は見たことがあるというのだ。
「そっちは」
「あのサーベルタイガーの亜種はか」
この世界ではそう区分されている。
ページ上へ戻る