| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵を表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百六十一話 まだ見えないがその十三

「飲み過ぎね」
「牛乳もですね」
 ピエトリが応えた。
「あまり飲み過ぎると」
「結構くるものがあるでしょ」
「お腹に」
「そのことはね」
「気をつけることですね」
「そう言われたわ、来日してから」
「起きた世界やとアジア系の人はどうも弱いみたいですね」
 ホンワナはアレンカールに考える顔で話した。
「牛乳に」
「日本人や韓国人はね」
「はい、よく飲んでお腹の調子が悪い人がいますね」
「そうね、あたいは今飲み過ぎ注意と言ったけれど」
 それでもというのだ。
「その実はね」
「結構飲んでもですね」
「一リットル位飲んでもね」
 それだけ飲んでもというのだ。
「別にね」
「何ともないですね」
「ええ、別にね」
「お水みたいなもので」
「そうだけれどね、それにこっちの世界だとね」
「人間のアジア系でもですね」
「何ともないわね。その日本人や韓国人も子供の頃から飲んでるから」
 その牛乳をというのだ。
「別にね」
「そうですね」
「まあ気にしなくていいわね」
「ほな一リットルは飲みますか」
 クルマは笑って話した。
「そうしますか」
「そうね、じゃあたっぷり飲んで」
「じっくり寝ましょう」
「そうするわよ。それで戦になったら」
 アレンカールはこの時もその話をした。
「皆宜しくね」
「わかってます」
「全員で力を合わせてですね」
「戦いますね」
「そうするわよ」
 こう言ってだった、アレンカールは笑って牛乳を飲んだ。酒が飲めない今はそれが彼等の夜の友だった。戦を前にしての牛乳の味も中々のものだった。


第百六十一話   完


                2020・5・8 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧