| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百六十話 見られる動きその十四

「考えてるけどな」
「この世界での夜釣りは洒落にならんもんが釣れるで」
 インファンテはウスマンにいささか真剣な顔で答えた。
「それは自分も知ってるやろ」
「それはな」
 実際にとだ、ウスマンも答えた。
「僕は漁師やからな」
「それでもしたいか」
「その面白いもんを釣って」
 そうしてというのだ。
「食べたいと思ってな」
「モンスターやったらやっつけてか」
「そう考えてるけどな」
「鮫とか釣ったらどうするんや」 
 ファラーはウスマンにこうした魚を釣った場合の話をした。
「老人と海やったらカジキやったけどな」
「カジキやったらその場でカルパッチョかな」
「日本風に刺身にでもするか?」
「醤油はないが魚醤はある」
「そっちを使うか」
「それでや」
 そのうえでというのだ。
「食べる」
「刺身やとか」
「ああ、それで鮫やったら焼くな」
「鮫は鮫で食えるか」
「これが結構美味いからな」
 だからだというのだ。
「エイにしても、焼く以外の食べ方もあるしな」
「鮫も色々あるんやな」
「別に煮凝りや蒲鉾だけやないで」
 こうしたものに限らないとだ、ウスマンは話した。
「ほんまに」
「そういうもんやな」
「そや、それで夜になったらな」
「釣りするか」
「そうしようと思ってるが」
「自分はせんがそこまでしたいなら止めん」
 インファンテはウスマンに笑って話した。
「好きなもん釣ったらええ」
「ほなな」
「そして釣ったもんを食うか」
「ああ、そうするわ」
「それやったらそっちも楽しむんやな、自分は夜も飯食ったら寝るが」
「ぐっすりとやな」
「ああ、何かあったら起こしてくれ」
 モンスターが出るなり嵐なりになったりした時にはというのだ。
「そういうことでな」
「ああ、これからやな」
「夕暮れの海を見るか」
 インファンテはウスマンに笑顔で応えた、そうしてだった。
 夕陽を浴びて赤くなった海を見た、赤と銀のその海もまた実にいいものだった。その海を見つつさらに先に進むのだった。


第百六十話   完


                2020・5・1 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧