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夢幻水滸伝

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第百六十話 見られる動きその十

「残念なことにな」
「そやねんな」
「タイ人みたいにはいかんわ」
「ああ、タイ人な」
「普段は動かんでも」
 セスペデスは自分が見るタイ人をクッツェーに話した。
「いざって時はな」
「動く」
「そうした風にはな」
 自分達はというのだ。
「動けんからな」
「熱いもんがないと」
「とてもな。けどある程度人それぞれや」
「国民性ってことやな」
「そや、何処でも怠け者と働き者がおる」
 その両方がというのだ。
「ええ人と悪人もおる」
「どっちも何処でもおるな」
 エチェニケも言ってきた。
「ほんまに」
「そやろ、この前久し振りに大谷見たわ」
「中学の時うちの学校におったな」
「中学の時から屑やったが」
 その大谷という者はというのだ。
「今はもっとや」
「あの兵庫で底辺の中の底辺の高校に行ってやな」
「チンピラみたいな外見になってたわ」
「実際にチンピラやったやろ、あいつは」
 エチェニケははっきりと述べた。
「八条学園におった時から」
「ああ、それがな」
「あの頃よりもか」
「さらにな」
 それこそというのだ。
「チンピラみたいな外見になってた」
「そやったか、まあな」
「そうなるって思ってたやろ、自分も」
「あいつは文字通りの人間の屑や」
 そうした輩だというのだ。
「弱い者いじめが好きで強い相手にはへつらう」
「自分より成績やスポーツのあかん奴は徹底的に馬鹿にしてな」
「図々しくて欲深でな」
「底意地まで悪い」
「そんな奴やからな」
「中等部でも嫌われてたしな」
「そんな奴やったからな」
 だからだというのだ。
「八条学園の高等部にも行けんかった」
「成績以前の問題やったからな」
「素行が悪過ぎたからな」 
 その性格故の行いがだ。
「部活で他人の出欠勝手に出席した分まで欠席に書き換えてな」
「あれな」
 クッツェーがその話に顔を顰めさせて言った。
「顧問がアホやったから一旦通ってな」
「それが公になって顧問は懲戒免職になって」
 リョサも言った。
「監督不行き届きも甚だしいってな」
「それであいつも部活首になったな」
「それが決め手になってな」
「高等部の推薦は最初からなくなった」
 推薦の話が出る以前にというのだ。
「それで皆から嫌われてな」
「完全に孤立して別の高校に行かざるを得んかったが」
「兵庫で底辺の底辺の高校におるんやな」
「あいつには相応しいな」
 二人もこう言うのだった。
「ほんまにな」
「二度と会いたくないわ」
「あいつは将来碌な奴にならん」
 セスペデスは険しい顔で言い切った。
「悪い意味でも何処でも色々な奴がおる」
「そのことがわかったな」
 エチェニケもこう言った。
「ペルーでも日本でもな」
「というか大谷は相当極端な例やろ」 
 リョサもこの輩についてはこう述べた。 
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