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夢幻水滸伝

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第百五十九話 遠路を進みその七

「巨人が出て来るわね」
「そして神や人が戦いますね」
「そして勝ってるから」
「巨人はですね」
 ジオンゴは何とか敬語を使った、普段の少年の口調は抑えてそうしてアレンカールと話をしていった。
「もう世界を襲う危機としては」
「定番よ、連中の中には炎の巨人もいるけれど」
 その者達はというと。
「そのままよね」
「ムスペルムですね」 
 モンテロッソが応えた。
「北欧神話の」
「ええ、そのままよね」
「そうですね、あの連中は」
「霜の巨人もいるし」
「バイキングみたいなのがいますね」
 巨大な姿のそれがだ。
「そう思いますと」
「そう、どう考えてもね」
「巨人達は、ですね」
「この世界の危機とかなりの関係があるわ」
 アレンカールはそれは間違いないとした。
「実際に出て来たら暴れ回ってね」
「その辺りを破壊し尽くしますから」
「もうね」 
 それこそというのだ。
「あの連中はね」
「世界の危機とかなりの関係があり」
「これからもね」
「この世界に危機との関係をですね」
「調べていくわ」
 そうしようというのだ。
「常に」
「そうされますね」
「そうしていくわ」
 アレンカールはモンテロッソに話した。
「いいわね」
「わかりました」
「そういうことでね、まあこうしたお話もいいけれど」
「リラックスしていきますか」
「ええ、苦難の多い長旅の間こそね」 
「怪談なりをして」
「そうよ、ただね」
 アレンカールはその怪談についてこうも言った。
「一つ忘れていけないことがあるわ」
「何ですか、それは」 
 すぐにカブラルがそのことについて問うてきた。
「一体」
「怪談は何でもしていいものじゃないのよ」
「そうなんですか」
「話していいものと話していけないものがあるのよ」
「話していけない怪談ですか」
「日本に来てから知ったけれど」
 話してはいけない怪談がある、そのことをというのだ。
「そうしたものもあるのよ」
「そうなんですか」
「これがね」
「妖怪の話はええが」
 インペルが言ってきた。
「怨霊の中にはやな」
「そういうのがあるみたいね」
「日本ではそうみたいやな」
「どうもね」
「日本は悪魔や妖怪より怨霊の方が怖い」
 インペルは深刻な顔で述べた。
「そうした感じやな」
「あるわね、それは」
「死霊も怖いが」
 それだけでないとだ、インペルはさらに話した。彼も日本に来て日本の怨霊の恐ろしさを知ったのである。
「生霊もな」
「怖いでしょ」
「実際にな」
 それがとだ、アレンカールに応えた。
「雨月物語とか」
「吉備津の釜ね」
「あれはかなり凄いな」
「まああたい達から見て何が怖いかわからないお話もあるけれど」
 日本の怪談の中にはというのだ。 
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