夢幻水滸伝
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第百五十八話 敵を待ちその十三
「祝言挙げるぜ」
「そうするといい、そして幸せな家庭を築くのだ」
「そうするぜ」
「是非な」
「頑張ろうね、吉君」
麻友は日毬と話す幸田に笑顔を向けて言った。
「これからも」
「おう、一生な」
「そうだよね、夫婦は一生のことだからね」
「ダイヤモンド婚姻まで生きるぜ」
「そうしようね」
是非にと話してだ、そのうえで。
麻友はまた蕎麦をすすった、そうしてまた言った。
「このお蕎麦だけれど」
「ああ、あっちの味だな」
「東京のね」
「そうだよな」
「あたし達の拠点は関西だけれど」
「それで蕎麦の味も関西だったりするけれどな」
「おつゆが特にね」
麻友は蕎麦のそれの話に重点を置いて話した。
「そうなんだよね」
「ああ、関西のは昆布使ってるだろ」
「それが美味しいけれどね」
「やっぱり東京とは違うからな」
「つまり江戸とはね」
「おう、けれどここの蕎麦はな」
そのせいろを喉越しで味わいつつ言うのだった、この蕎麦の食べ方も江戸っ子の食べ方で幸田達もそれで食べているのだ。
「ちゃんとな」
「江戸のそばつゆだね」
「それがいいな」
「そうそう、江戸っ子にとっちゃね」
「明日もここの蕎麦食うか」
「そうしようね」
「そうするといい」
日毬はサングラス越しに蕎麦の話に興じる二人に述べた、見れば口元が微笑んでいる。
「二人でな」
「おう、そうするな」
「これからもね」
幸田も麻友も日毬のその言葉に笑顔で応えた、そしてだった。
せいろがなくなるとそれぞれおかわりをした、そして江戸のそばつゆで噛まずに喉越しを味わっていくのだった。
第百五十八話 完
2020・4・15
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