夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百五十七話 黄金郷その十
「失わずにな」
「日本に行くわね」
「正直拙者達の軍艦は古い」
それ故にとだ、ゴーディマーは言った。
「それでや」
「荒波にも弱いわね」
「そや」
まさにというのだ。
「海が荒れたらすぐに大砲を全部括らなあかん」
「さもないと大砲が船の中を荒れ狂うわ」
「そして乗員轢いたり艦内滅茶苦茶に荒らす」
「そして最後は船に大穴空けて海にどぼんね」
「穴空けてくれて武器も失う」
「最悪の事態になるわ」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「絶対にや」
「それは避けたいわね」
「ああ、何があってもな」
それこそというのだ。
「それは避けたい」
「そのことも頼むわね」
「わかってる、そしてこのエルドラドもな」
「ええ、流石に大きいから浮島自体は台風にもびくともしないわ」
アレンカールは肉を食べながら述べた。
「確かにね、けれどね」
「建物がな、台風位の風には弱いわ」
シャーデーが言ってきた。
「それがや」
「ええ、弱点になるわ」
「そういうことやね」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「その時はね」
「壊れた建物を修繕したりして」
「進んでいくわ」
そうしていくというのだ。
「これからは」
「そうするんやね」
「そういうことでね、じゃあ皆いいわね」
今度は一同にあらためて話した。
「これから日本まで行ってね」
「決戦ですね」
「そうよ、勝った方が太平洋と地下世界の覇者になって」
そしてとだ、ジオンゴに応えて話した。
「そうしてね」
「この世界をどう治めるか」
「そのことを進めていくわよ」
「それじゃあ」
「だからね」
「今は、ですね」
「勝つわよ、確かに日本はこれまで他の勢力に全部勝ってきてあたい達は初戦だけれど」
「それで勝って覇者になるのはずるいですね」
ジオンゴは見事な鬣を持つ若々しいというかまだ幼さの残る雄獅子の顔で言った、鬣の見事さとその顔立ちに妙なギャップがある。
「どうも」
「ええ、けれどね」
「そうしたルールやからですね」
「それに則るのよ、というかね」
肉を元気よく食べるジオンゴに話した。
「日本の方からどんどん動いて」
「他の勢力と戦っていきましたね」
「物凄く攻撃的にね、それに南洋も中国もアメリカもまず一番勢力の小さい日本に向かったし」
まずは弱小勢力から叩く、戦略的にこう判断してのことだったのだ。
「もう日本が連戦になったことはね」
「しゃあないですか」
「言うならね」
そうなるというのだ。
「だからあたい達はずるいと思ってもね」
それでもというのだ。
「ルールに則ってるから」
「ずるくはないですか」
「そうよ、反則もしていないから」
だからだというのだ。
「後ろめたく思ってもね」
「卑怯やないですか」
「そのことは安心していいわ」
こう言うのだった。
ページ上へ戻る