夢幻水滸伝
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第百五十七話 黄金郷その七
「それはどうか」
「それもないですか」
「まず仕掛けてくるわよ」
日本に向かう自分達にというのだ。
「そうしてくるわよ」
「といいますと」
「色々偽の情報を流してね」
「惑わしてきますか」
「そうしてくるわよ」
こう話した。
「ほんまに」
「そうしてきますか」
「相手がただ待っているだけか」
「それはないので」
「絶対に仕掛けてくるわよ」
「そうしてきますか」
「こっちはイースター島からずっと日本に向かうのよ」
途中立ち寄る場所なくというのだ。
「さながら日露戦争の時のバルチック艦隊よ」
「あの、バルチック艦隊って」
その艦隊の名前を聞いてだった、アマドゥが言ってきた。
「見事に」
「負けたわね」
「日本海海戦で」
「ワンサイドゲームだったわ」
まさにというのだ。
「そうなったわ」
「そうでしたね」
「あの時はイギリスが徹底的に嫌がらせをしたわ」
日本に向かうバルチック艦隊にだ、自国の勢力圏の港には入れさせず補給や休養を摂らせなかったのだ。そして彼等の情報を逐一日本に知らせていたのだ。
「その時みたいにね」
「日本もですか」
「そうしてくることもね」
「考えられますか」
「充分以上にね」
そうなるというのだ。
「ほんまにね」
「厄介ですね」
「もう厄介なことをね」
それこそというのだ。
「日本はね」
「幾らでも仕掛けてきますか」
「そうしてくるわよ」
「と、なるとですね」
シルビーナは肉を食べるアマドゥの皿のその肉にチーズを渡した、そして彼の感謝の言葉を受けつつ自分もチーズを食べつつ言った。
「私達としては」
「わかるでしょ」
「これから惑わず」
「そして」
そのうえでというのだ。
「日本に向かうのよ」
「そうしますか」
「どんな情報が流れて災害があっても」
「日本に行きますね」
「ええ、このエルドラドには物資が一杯あってしかも自給自足も出来るわ」
それ故にというのだ。
「補給は問題がないわ」
「この辺り違いますね」
ここでこう言ったのはビークだった。
「補給の心配がないことは」
「移動要塞の強みね」
「ほんまにそうですね」
「少なくとも日本に行って帰るまでの物資はあるし」
「そこに自給自足も出来るさかい」
「ええ、農園や牧場もあるし魚介類も養殖しているから」
だからだというのだ。
「千百万の軍勢もね」
「普通に行けますね」
「ええ、ただね」
アレンカールは肉を食べながら難しい顔でこうも言った。
「その自給自足をね」
「屯田でやってますのが」
このこがとだ、ママニ=カブラルも言ってきた。オレンジジュースを飲みつつアレンカールに難しい顔で話した。
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