八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百八十九話 ワインの後でその四
「そうしたこともまたです」
「楽しいですよね」
「お一人でレストランに行かれ」
そしてだ。
「ワインを飲まれて七面鳥を楽しまれる」
「それもですよね」
「面白いものですから」
「一人もよしですね」
「ケーキも買われて」
クリスマスにはこれも外せない。
「そうされてもです」
「いいですよね」
「ですから」
それでというのだ。
「色々お考えになられていいですが」
「早いうちにですね」
「決断されて下さい」
「わかりました」
畑中さんのそのお言葉に僕は頷いた。
「そうさせてもらいます」
「それじゃあ」
「よく女性の方、という方がおられますが」
クリスマスの過ごし方の定番だろう、それで独り身の人がクリスマスはクルシミマスだとか言ったりもする。
「これもまた一つの楽しみ方です」
「色々ですね」
「まさにその人それぞれで」
それでというのだ。
「国によっても違いますし」
「というかクリスマス自体ない国ありますしね」
「戦前の日本自体がそうでしたね」
「ですから」
「彼氏彼女でどうとかいう国ばかりじゃないというか」
むしろだ。
「日本みたいな国は実は少数派ですね」
「多くの国は家族パーティーを楽しみますね」
「デートを楽しむという国は」
それこそだ。
「実は少数派です」
「そうですね」
二人でこう話した、そしてだった。
そのお話をしつつだ、畑中さんは僕にこう言ってきた。
「ただ、楽しめる時があるならです」
「楽しむことですね」
「クリスマスも然りです」
「そうなりますね」
「ですから」
それでというのだ。
「楽しまれて下さい」
「そうしてきます」
「その様に、ただ戦前日本にクリスマスはなくても」
「それでもですか」
「一応入って来てはいて」
「楽しむ人は楽しんでいましたね」
「そうでした、私は知りませんでしたが」
クリスマス自体をというのだ。
「そうしたものでした」
「日本軍にはなかったですね」
「左様でした」
日本軍は神道で動いていた面が強かった、何しろあの戦艦大和にも奈良県の大和神社の神棚が置かれていた位だ。
「ですから従軍慰安婦のお話でもです」
「ああ、クリスマスに相手させられたとか」
「有り得ないのです」
「そうですよね」
「まして私はその日本軍にいました」
「それならよくご存知ですよね」
「はっきり言えます」
このことはというのだ。
「日本軍にそもそもクリスマスはありませんでした」
「その時点でおかしいですね」
「そして慰安婦の募集も」
問題だと言われていたこのこともだ。
「当時娼婦は公のもので」
「赤線ってありましたね」
「昭和三十年代までありました」
即ち戦後まであったのだ。
「そもそも」
「左様でしたね」
「ですから強制的に攫ってでも集めることもです」
「必要なかったですね」
「普通に娼婦の人から募集すれば」
それでだ。
ページ上へ戻る