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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十九話 ワインの後でその一

                第二百八十九話  ワインの後で
 僕は八条荘に帰ってから畑中さんにお店の話をした、ワイン三本はかなり利いていてもうかなり酔っていたけれど話は出来た。
 それで畑中さんにこう言った。
「実際に何か狐に」
「化かされた、ですね」
「そんな感じがしますね」
「はい、あのお店はです」
「そうしたお店ですね」
「不思議な感覚がするお店です」
 こう僕に話してくれた。
「あちらのお店は」
「お金を払って」
「実際にその場にあってもですね」
「狐のお宿に入って」
 そしてだ。
「食べてお勘定払って出て」
「そのお店が実際にあってもですね」
「何かです」
 不思議なことにだ。
「狐に摘ままれて」
「化かされた様なですね」
「そんな感じがしますね」
「そしてお店の人もですね」
「はい、何か」
 そういえばお店に狐のお面も飾られていた、白いそれも今思うとお店の印象をかなり決定付けるものだった。
「狐みたいですね」
「これは噂ですが」
 畑中さんはこう前置きして僕に話してくれた。
「あのお店は実際に狐がです」
「経営しているんですか」
「そうした噂があります」
「そうなんですか」
「そしてお店の方々も」
「まさかと思いますが」
「そうした噂があります」
 実際にというのだ。
「若しくは安倍晴明の様にです」
「狐の血を引いているんですか」
「あくまで噂ですが」
「何か」
 そう聞くとだ。
「どうもですね」
「否定出来ないですね」
「実際にお店の人どなたも狐のお顔でしたし」
 それにだ。
「喋り方もお話の内容も」
「狐を思いますね」
「はい」 
 そうしたものだからだ。
「その様に」
「左様ですね、あのお店はそうなので」
「噂があるんですね」
「昔から。私もよくお邪魔しますが」
「その時もですか」
「そうした気持ちになります」
 狐に摘ままれた様な化かされた様なというのだ。
「どうにも」
「やっぱりそうですか」
「そしてその不思議な気持ちもです」
「悪いものじゃないですね」
「左様ですね」
「どうにも」
 これまた不思議なことにだ、何故そう思うかはわからない。
「僕もそう感じました」
「それであちらの商店街の裏手でも秘かに評判になっています」
「不思議なお店としてですね」
「はい、それで長い間続いています」
「そうなんですね」
「それで時々ですが」
 お店に行ってというのだ。
「楽しんでいます、若い頃より」
「お若い頃からですか」
「終戦後から」
「その頃からあるお店ですか」
「そうです、震災の時は暫く行っていませんでしたが」
 あの地震では神戸全体がとんでもないことになった、僕はこの地震から地震は戦争より怖いと思う様になった。 
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