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夢幻水滸伝

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第百五十六話 戦を前にしての日常その十五

「棟梁からは別に」
「匂わん?」
「むしろいつもいい香りがしますが」
「それはさっき言うた通り気をつけてるからやねん」
「だからですか」
「体臭は人不愉快にさせるから」
 そう考えてというのだ。
「ほんまにな」
「お風呂に入られて」
「お水もようさん飲んでな」
「気をつけられていますか」
「そやねん、ただ香水は」
 こちらはとだ、綾乃は喜久子にさらに話した。
「別につけてへんで」
「そうした香りは確かにせえへんですね」
「というかあれ高いやろ」
「それはものによりますね」
 それ次第だとだ、喜久子は綾乃に答えた。
「高いもんは高いですが」
「安いものもあるんやね」
「はい、ただそこまでされてるなら」
 毎日入浴しかつ水を多く飲むならとだ、喜久子は綾乃に話した。四人共ここで身体を洗い終えて湯舟に向かった。
 そして湯舟に入ってからだ、喜久子は綾乃にあらためて話した。
「もう香水はです」
「いらへんね」
「そう思います」
 実際にというのだ。
「私は」
「うちにはやね」
「はい、というか脇も足もお口も」
 そうした匂うと言われる部分からというのだ。
「しないですが」
「そやったらええけど」
「歯磨きもよくされてますね」
「そうしてるで」
 実際にとだ、綾乃は答えた。
「やっぱり」
「左様ですね」
「まあ大蒜とか韮とかも食べるけど」
 そうした匂う野菜もというのだ。
「そやけどほんまにな」
「歯磨きもですね」
「気をつけてるで」
「そこまでされていたら」
「体臭せんのやね」
「はい、本当にしていませんし」
「ほんまにそやっらええけど」
 綾乃は喜久子のその話を聞いて安心した様な顔になった、そうしてその顔でこうしたことも言った。
「体臭凄い人はほんまに凄いっていうし」
「それは聞きますね」
「その脇とか足とかお口とか」
「何でも足が普通にドブに入った様な匂いがする人も」
「おられるみたいやね」
「元々の体臭と食生活、あと入浴ですね」
 そうした条件をだ、喜久子は挙げていった。
「それ次第で、です」
「匂ったり匂わんかったりやね」
「する様ですね、以前ユゴー君が言っていましたが」 
 フランスの神星の者である彼がというのだ。
「起きた世界で」
「何て言うてたん?」
「アンリ四世はかなりの体臭がしていたとか」 
 フランス王であった彼はというのだ。
「何でも」
「ああ、あのブルボン朝の」
「その人はかなりの体臭でしかも当時のフランスは滅多に入浴しなかったので」
 数年に一度という位であったという、フランスに入浴の習慣を持ち込んだのはマリー=アントワネットだとも言われている。 
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