夢幻水滸伝
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第百五十六話 戦を前にしての日常その六
「しかしな」
「それでもやな」
「戦のことはな」
「どう見ても不得意やな」
「それがわかるわ」
太宰の戦ぶりを見てもというのだ。
「ほんまに」
「元々今の戦までずっと政に専念してた」
「そうやったしな」
「戦はな」
まことにというのだ。
「あいつはな」
「太宰は戦はな」
「向いてへんわ」
「ほんまにそやな」
「今は一人でも星のモンが欲しいから一騎打ちに出してるが」
それでもというのだ。
「それが終わったらな」
「もう政に専念してもらわんとな」
「あいつの本来の立場に戻ってもらう」
「そうせんとな」
「太宰君と喜久子ちゃん、それであと何人の子はそやね」
綾乃も棟梁として言う。
「もうこの戦が終わったらな」
「政に専念してもらわんとな」
「また大きな戦になっても」
「それでもな」
「そうせんとな」
絶対にというのだ。
「あかんね」
「僕もそう思うわ」
中里は林檎ジュースを飲みつつ綾乃の言葉に頷いた。
「今も日本の政が不安やしな」
「その太宰君が整えてくれてる統治の仕組みがあって」
「それが動いてるけどな」
「やっぱりやね」
「そや、肝心の宰相や大臣クラスまでここに連れて来てる」
一連の戦にというのだ。
「そやからな」
「政の方が不安やね」
「動いてはいるけどな」
「細かいところがどうしても」
「仕方ないとはいえ」
「やっぱり宰相や大臣の子は残すべきやね」
「そう思ったわ」
今回特にとだ、中里は述べた。
「ほんまに」
「そやな」
中里はその通りだと応えた。
「今回思うわ」
「統一したらもう人材は充分になる」
芥川が明らかに不安そうな中里に話した。
「星のモンではな」
「星のモンの四分の三はおる様になるからな」
「そやからな」
それでというのだ。
「かなり楽になる」
「そうなるな、確かに」
「兵の数でも枢軸、そして欧州も圧倒してる」
「そうした勢力になるな」
「このことは大きい」
何といってもというのだ。
「ほんまにな、そやからな」
「統一した後の戦はやな」
「太宰とそれぞの分野を受け持つもんはな」
「戦の時でもやな」
「それが滅ぶか滅ぼされるかって戦の時もな」
まさに勢力の命運を賭けたそれを行う時もというのだ。
「太宰と大臣の仕事をする連中はな」
「残ってやな」
「政に専念してもらう」
「そうなるな」
「ほんま太宰は政は誰よりも凄い」
何といってもとだ、芥川は太宰のその力量について述べた。
「日本も万全に治めてくれてるが」
「太平洋と地下世界全体もやな」
「やってくれる」
その政をというのだ。
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