夢幻水滸伝
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第百五十六話 戦を前にしての日常その五
「そうしてるな」
「これがな」
「それでもやな」
「今は随分考えが変わって」
そしてというのだ。
「欧州の星のモンはこっちの世界でもや」
「死刑はせんな」
「こっちにはない考えや」
「ほんまにそやな」
中里は葱を食べつつ芥川に応えた。
「それは」
「その考えがな」
「どうしてもやな」
「僕には受け入れられん」
「僕もや」
中里はまた芥川に応えた。
「そうした考えはな」
「ないな、自分にも」
「何で人を何人も殺した屑が死刑にならんのか」
中里は眉を顰めさせてこうも言った。
「それ自体がや」
「わからんな」
「ああ、ほんまにな」
それこそというのだ。
「殺され損でええんか」
「加害者の人権とか言うてな」
「それが必要か」
「ほんま疑問や」
「それで太平洋と地下世界はどの勢力も死刑導入してるけど」
綾乃は二人に言った。
「それはうち等が統一しても変わらんことやね」
「変える必要ないわ」
中里は一言で言い切った。
「ほんまに」
「そやね」
「まあ政は太宰がおるからな」
「太宰君には統一したら」
「太平洋と地下世界全体のや」
「政をやってもらうね」
「引き続き宰相か」
若しくは、というのだ。
「その立場でな」
「やってもらうことになるね」
「そや、あいつしかおらんわ」
中里は太宰について一言で言い切った。
「七十五億の人口と広大な地域の内政を担えるのは」
「ほんまにやね」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「あいつにはな」
「今は日本の宰相やけど」
「統一してからもや」
「政の柱になってもらう」
「宰相かその立場でな」
「そういうことやね」
「貿易、経済、治安、インフラ、教育、文化、産業と政はやることは多いが」
芥川はサイダーを飲みつつ言った、見れば三人共飲むものは飲む都度サイダーやジュース等変えている。
「太宰は全部を統括してや」
「万全に治めてくれるわ」
「そやからな」
「統一してもやね」
「中里の言う通りにな」
「その立場でやってもらうで」
「是非な」
こう言うのだった。
「ほんまに」
「そやね」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「今の戦でわかったけど太宰は戦には向いてへんな」
「一応術は使えて軍の指揮も出来るけどな」
それでもとだ、軍を預かる立場である中里が答えた。
「それでもな」
「やっぱり生粋の政治家やな」
「それがよおわかるわ」
「政はあいつに任せたら問題ないが」
それでもというのだ。
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