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夢幻水滸伝

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第百五十五話 最後の一手その十二

「あっちはアレンカール一人でな」
「こっちは三人やから」
「僕等のうち一人をアレンカールとの一騎打ちに向けてな」
「後の二人は軍勢同士の戦に最初から最後まで迎えられる」
「これは大きいわ」
「そやね」
「こっちの有利な要素もあるってことや」
「そういうことやね」
「こっちは装備と星のモンの数と戦の適性で勝ってる」
 この三つの要素でというのだ。
「数は確かに洒落にならん位開いてるが」
「それでもやね」
「この三つにな」
 さらにとだ、芥川は話した。
「もう一つの要素を生み出すことも出来るで」
「疲れやな」
 中里は腕を組んで指摘した。
「それやな」
「そや、相手をどれだけ疲れさすか」
「それが要素やな」
「もう一つのな、今アレンカールはずっとこっちに向かってきてる」
「太平洋横断してな」
「それまでに中南米とアフリカの軍勢を合流させてる」
 このこともだ、芥川は指摘した。
「南大西洋でな」
「それからこっちに来てるな」
「パナマ運河を超えてな」
「あの運河こっちの世界でもあるからな」
「あそこを通ってな」 
 そしてというのだ。
「こっちに来てる」
「水軍もやな」
「そや、遠い距離を進んでる」
「その分疲れるな」
「確かに移動要塞におると補給の心配とかはあまりないしその中で休めるが」
 それでもとだ、芥川はさらに話した。
「しかしや」
「疲れることは疲れるな」
「そういうことや」
「そして僕等としては」
「敵を疲れさせる」
「それも戦略やな」
「日露戦争がそやったやろ」
 芥川はここで歴史の話をした。
「日本海海戦な」
「バルチック艦隊やな」
「あの時ロシアのバルチック艦隊は地球一周してきた」
「長い時間かけてな」
「その間日本の同盟国のイギリスが始終嫌がらせしてた」
 そのバルチック艦隊にだ。
「艦隊を自分の植民地の港には入れんでな」
「補給も休養もとれん様にしてたな」
「それで艦隊の情報を逐一日本に教えてた」
「もうバルチック艦隊は日本に来た時はへとへとやったな」
「それで日本の連合艦隊と戦ってな」
「一方的にやられたな」
「これはイギリスが疲れさせたが」
 日本ではなく日本の同盟国のこの国がというのだ。
「やっぱりな」
「敵は疲れさせる」
「それが大事や」
「ほな今回はか」
「こっちはあえて動かん」
「日本に留まるか」
「そしてその間ずっとな」
 芥川はさらに話した。
「偽の情報を流すんや」
「日本の動きのか」
「そうするんや、そして相手を惑わして」
「その分疲れさせるか」
「そうする、そして日本近海でな」
「決戦を挑むんやな」
「そうするんや、そやから今は休むことや」
 笑み、それを浮かべての言葉だった。 
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