夢幻水滸伝
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第百五十四話 同盟軍崩壊その二
「これはな」
「かわしきれんな」
「ああ、それで掠りでもしたらな」
「終わりや」
「そうなるな」
「相手もそのつもりで来たな」
「それやったらな」
どうするかとだ、狐は芥川に問うた。
「どうするかやな」
「僕は忍者やな」
芥川は自分の職業のことから話した。
「そやな」
「それでか」
「そや、忍者やからな」
だからだというのだ。
「ここは忍術を使うで」
「そうするか」
「しかも只の忍術やない」
こう狐に話した。
「これまで分身の術や移し身の術を使ってきたが」
「それ以外の術を使うか」
「今度はこれや」
こう言ってだ、芥川は。
自分の身体の前に煙玉を投げた、それで狐の身体ごと自分の身体を煙で覆った。その煙が消えた時には。
芥川も狐も消えていた、兎はそれを見て突進している主に言った。
「ご主人、芥川さんが」
「消えたのう」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「どうされますか」
「どうもこうもないけえ」
「といいますと」
「婿殿は絶対にわらわに向かって来るけえ」
それでとだ、碧は突進、隕石を放ちつつそれを続けながら兎に答えた。その横顔には笑みすら浮かんでいる。
「だからけえ」
「そこで、ですか」
「倒すけえ」
そうするというのだ。
「それだけじゃ」
「あの、それは」
「姿消してもじゃ」
碧はさらに言った。
「それでもじゃ」
「芥川さんは必ず来られる」
「だからじゃ」
その為にというのだ。
「このまま進むけえ」
「そして来られた時に」
「攻めるけえ、姿を消すのは目くらましじゃ」
それに過ぎないというのだ。
「そして姿を消すのは何の為か」
「目をくらまして攻める」
兎は答えた。
「そこから」
「そうじゃけえ、だから」
「それで、ですね」
「ここはじゃ」
さらに言うのだった。
「このまま前に進んで気配がしたところを」
「攻める」
「そうするけえ、わらわは見えん相手でもわかる」
そのいる場所がというのだ。
「しかとな」
「左様ですね」
「野生児は文明とは別の世界におる」
「獣やモンスターの中に」
「そこで獣やモンスターの力を身に着けておるけえ」
それでというのだ。
「鼻も耳も鋭いけえ」
「そして勘も」
「野生のそれでじゃ」
まさにというのだ。
「戦うけえ」
「そうされますか」
「そうじゃけえ、だから」
さらに言うのだった。
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