八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百八十七話 夜に入ってその十
「けれどね」
「何処も責任を取っていなくて」
「誰もね」
「酷いなんてものじゃないわね」
「多くの人を生き地獄に送ったなら」
実際にそうしたからだ。
「もう全財産を賭けて償わないとね」
「それが筋よね」
「けれど関わった人も組織も誰もそうしていなくて」
さらにとんでもないことにだ。
「他人を糾弾するのには熱心なんだ」
「自分に甘く、他人に厳しいのね」
「それでも限度があるよ」
自分に甘く他人に厳しいこと自体どうかだけれどだ。
「沢山の人をそうして相手は嘘吐いてでもそれを広めて攻撃するから」
「そうした人って」
香織さんは眉を顰めさせて僕にこう言った。
「最低なんてものじゃないね」
「人間の屑どころか」
正直この言葉すら生ぬるいと思う。
「吐き気を催す邪悪だよ」
「それ時々聞く言葉ね」
「ある漫画から出た言葉で」
スタンドというものが出て来るかなり長く続いている作品だ、絵はかなり緻密でストーリーは濃厚でかなり読み応えがある。
「言葉通りの悪だよ」
「悪の中でも特に悪質なのね」
「もう本当に誰もが忌み嫌う様な」
そうしただ。
「悪でね」
「そうした人達こそなのね」
「それだよ」
吐き気を催す邪悪だ。
「徹底的に卑劣で非道でね」
「卑怯でもあるわね」
「もう人間というか」
そこまで腐り果てるとだ。
「餓鬼だよ」
「餓鬼道に堕ちたっていうのね」
「そうだよ、人間の世界にいても」
それで姿形は人間でもだ。
「心がね」
「餓鬼になってるのね」
「こんなことして自分の親兄弟妻子に顔を向けられるか」
「向けられないわよね」
「恥を知っていればね」
若しそうであればだ。
「出来ないよ、帰国事業ですらそうなのに」
普通の団体や企業がこんなことに関わっていれば普通に世間から糾弾されて潰れる、それ位の自浄能力は日本にもある。
けれどだ、これがマスコミやマスコミとグルになっている存在だと話は別だ。日本程マスコミが腐敗した国もないだろう。
「さらに嘘を吐いて相手を糾弾だから」
「腐り過ぎよね」
「恥を知らないと出来ないよ」
文字通りの厚顔無恥でないとだ。
「そして恥を恥と思わなくなったら」
「その時は?」
「最も恐ろしい腐敗がはじまるってね」
「言われているのね」
「この言葉は親父に言われたけれど」
本当にこう言った。
「その言葉はね」
「実際になのね」
「そうした人達を見ればわかるよ」
親父が言ったこの言葉の意味がだ。
「本当にね」
「まさにその言葉のサンプルね」
「そのことを実感したよ」
「生きながら餓鬼道に堕ちていたから」
「反面教師にしているよ」
「ああはなるまいって」
「本当にね」
心からこう思っている。
「そうしているよ」
「だから子供が出来てもなの」
「そんな風になったら」
餓鬼道に堕ちたらだ。
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