夢幻水滸伝
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第百五十二話 さらなる優勢へその八
「しかしな」
「今はどの方も一騎打ちに入っておられます」
「あの方々のお力は軍勢同士の戦には使われないです」
「そうした状況です」
「残念ですが」
「そして相手はだ」
日本軍はというと。
「何十もの星の方が加わっておられる」
「そしてその分で、ですね」
「兵力の差を補っています」
「ただでさえ武装はあちらの方が上だというのに」
「この状況はです」
「非常に辛い」
こう周りの士官達に言った。
「非常にな」
「全くです」
「お一人でもおられれば」
「より有利に戦えますが」
「しかしです」
「この状況では」
「戦線を崩壊させない状態を維持することでだ」
そこまでは至らない様にすることでというのだ。
「手が一杯だ」
「左様ですね」
「我々だけでは」
「吹雪の中ですし」
「夜襲を受けて遅れも取りましたし」
「全てがだ」
まさにというのだ。
「我々にとって悪い状況にある」
「吹雪が厄介ですね」
士官の一人がこのことについて言及した。
「これが」
「そうだな、寒く雪が身体を濡らし余計に冷やしだ」
将軍はその士官の言葉に頷いて述べた。
「身体を満足に動かさせない」
「銃や大砲を撃つにも邪魔です」
「それで満足に攻撃も出来ない」
「視界も遮り」
「強い風もあってな」
「我々を悩ませています」
「全くだ、しかし敵は」
対する日本軍はというと。
「違う」
「厚着でしかも雪を防ぐコートを着ています」
「厚着をしていて銃や大砲も雪や風に強い」
「ですから攻撃を出来ています」
確かに雪や風の影響を受け万全ではないがだ、攻撃が出来ると出来ないので全く違うことは事実だ。
「それも」
「そうだな、だからだ」
「彼等は吹雪を味方にしています」
「我々は敵としてな」
「このことも我々を追い詰めています」
「その通りだ」
将軍は士官に応えた。
「尚更辛い」
「全くですね」
「だが自然に文句を言っても仕方ない」
将軍はこうも言った。
「全くだな」
「左様ですね、では」
「この中で戦うしかない」
「吹雪が荒れ狂う中で」
「このままな、星の方々が戻られるまでな」
それを待ち、というのだ。
「戦っていこう」
「左様ですね」
「今は」
「辛い時もあります、戦には」
「そこでどう耐えるか」
「それも軍人の資質です」
「そうだ、棟梁達は必ず戻られる」
このことを確信してだ、将軍は言った。
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