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夢幻水滸伝

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第百五十二話 さらなる優勢へその九

「では我が師団もな」
「今はですね」
「我々だけで戦っていきますね」
「その様にしていきますね」
「ここは」
「そうする」
 こう言ってだ、そのうえで。
 将軍は自分が任されている師団の采配を続けた、厳しい吹雪の中で敵の攻勢を何とか凌いでいた。だが。
 その師団を攻めつつ宮沢は雪路に言った。
「おらが援護するだ」
「それでよね」
「おめは攻めるだ」
「正面からよね」
「おめの得意なやり方で戦うだ」 
 こう言うのだった。
「いいな」
「そうさせてもらうわね」
「おめは格闘戦が得意だな」
「ええ、戦の仕方だとね」
「なら攻めるだ」 
「わかったわ、では今からね」
「目の前の師団は崩れかけで踏ん張っているだが」
 それでもというのだ。
「ここでおら達が攻めれば」
「崩せるわね、ではね」
「攻めるだ」
「頼むわね」
 雪路はカイザーナックルを付けている拳を構えた、そうして。
 自身が率いる兵達お突撃させた、雪路は自ら先頭に立ち突っ込む、突っ込みつつ術を前に放っている。 
 その術が敵兵達を吹き飛ばす、そして彼女が率いる隊の後ろから。
 宮沢は自分も含めて彼の隊を雪路の隊の援護をさせた、自分も水破の矢を次々と放つ。矢は敵兵を攻撃した範囲で十人単位で爆発で倒していく。
 そうして攻めつつだ、自分の後ろに来た若山に言った。
「おめもか」
「そや、間に合ったか」
 若山は彼に笑って返した。
「攻める時やな」
「そだ、ここで目の前の師団を攻めて」
「そうして一気に崩してな」
「そこからさらにやな」
「そだ、敵の戦線を崩していく」 
 そうするというのだ。
「ここからな」
「そうするな」
「吉川さんはそこから前に進めと言っておられるだ」
「この場所の敵の戦線を崩壊させて」
「そこからさらに攻めるつもりとのことだ」
「ほなやな」
「おめも頼むだ」 
 既に鍛冶道具であり武器でもある特製の鎚を持っている若山に言った。
「雪路どんに続いて欲しいだ」
「そのつもりや、ほなな」
「攻めてくだ」
「ああ、存分にな」
「この戦も勝つだ」
 宮沢はまた水破を使った、そうしてだった。
 敵兵達を倒していく、若山はその攻撃を見つつ自身の隊を突撃させた。そうして雪路の隊と並んだが。
 雪路は自分の隣に来た若山に笑って言った。
「あんたも来てくれると有り難いわ」
「二人より三人やな」
「そう、だからね」
 彼に笑みを浮かべて話す。
「本当に有り難いわ」
「ここでこの師団を攻めてな」
「潰走させてね」
「そのうえでさらに前に進む」
「そうしていくわね」
「敵は二万」
 一個師団でそれだけいるのだ。
「それに対してこちらは六百」
「兵の数は少ないわね」
「これで攻めるのは」
「無謀ね」
「勝てる筈がないわ」
 若山は笑って話した。
「三人の隊全部合わせてそれだけやからな」
「この兵でどう攻めるか」
「考えるだけでも馬鹿馬鹿しいわ」
 そこまでの兵の差があるというのだ。 
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