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夢幻水滸伝

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第百五十一話 吹雪の中の夜襲その七

「そこを制する、そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「陸だ、陸は今は押しているなら満足すべきだ」
 その戦局にというのだ。
「むしろ押されていても崩れていないならな」
「いいですね」
「それでな、ではだ」
「今はですね」
「このまま戦っていく」 
 雅に答えてだった、そのうえで。
 吉川は海と空の敵艦隊、波と風それに雪に悩まされている彼等に攻撃を仕掛けていった。木製の船は鉄製の船の相手ではなく次々に沈められ落とされ砕けていっていた。
 夏目は陸での采配を執っていた、彼は馬に乗り部隊を率いつつ自身も菊一文字を手にして術を使い戦っていた。
 陰陽術の札を出してそこから多くの式神達を放って敵軍を攻撃した、無数の白い鳥が刃となり敵軍を切り裂くのを見て彼は言った。
「かなり倒したでおじゃるが」
「それでもな」
 共に軍を指揮している滝沢が応えた。
「中々、だな」
「敵は減らないでおじゃるな」
「雲霞みたいにいるっていうのはこのことだな」
 滝沢は竜巻の術を放った、それで敵兵達を数百人程薙ぎ倒してから言った。
「まさに」
「そうでおじゃるな」
「中々な」
「押してはいるでおじゃるが」
「そう簡単には減らないな」
「数は本当に力でおじゃるな」
 それだけでとだ、夏目は難しい顔で述べた。
「倒しても倒してもでおじゃる」
「戦場にいてな」
「戦いを挑んでくるでおじゃるからな」
「反撃もしてくる」
 その数の力でとだ、滝沢は話した。
「だからな」
「それだけで脅威でおじゃる」
「全くだ、しかし」
 それでもとだ、滝沢は。
 また竜巻の術を放った、それで再び敵兵を数百人倒してから言った。
「無限ではない」
「倒していけばでおじゃる」
「やがて数も減っていく」
「そうなるでおじゃるな」
「むしろ問題は回復だ」
 こちらだというのだ。
「回復の術を使える者達を倒していかないとな」
「後方にいるでおじゃるな」
「彼等を倒せばな」
「その分回復役が減って」
「敵の継戦能力が落ちる」
「これまでもそうした敵兵をまず攻めてきたでおじゃるが」
「今回もだな」
 まさにというのだ。
「そうするか」
「では、でおじゃるな」
「前線に出て来た僧侶達回復の術を使える職業を優先的に攻撃し」
 味方の治療で出て来た彼等をというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、でおじゃるな」
「後方は今は佐藤兄妹の兄と有島が向かった、ならな」
「そちらは二人に任せて」
「僕達はさらに攻めるか」
「そうすべきでおじゃるな、では」
「突撃するか」
 滝沢は夏目に提案した。
「これから」
「騎馬隊で以て」
「それがいいか」
「いいと思うでおじゃる」
 夏目は滝沢に笑みで応えた。
「では今から吉川さんに提案するでおじゃるな」
「そうするか」
 滝沢は頷きそうしてだった。
 貝殻を出して吉川に提案しようとしたところでその吉川から連絡が来た、それで滝沢に対して言ってきた。 
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