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夢幻水滸伝

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第百五十一話 吹雪の中の夜襲その六

「鉄の船よりも遥かに揺れるのだしな」
「それ故にですね」
「敵艦隊から攻撃は少なくなっている」
「そのことも我々の利点ですね」
「そうだ、まだ南洋の船は鉄製だったから戦えたが」
 それがというのだ。
「同盟の船は違う」
「全て木製なので」
「脆いし攻撃も少ない」
「嵐の中ですと」
「これだけ有利なことはない、しかも夜だ」
 時間のこともだ、吉川は話した。
「こちらは狙いは定められるが」
「吉川さんの神具の力で」
「相手はしっかりとわかる」
 海図を開くと敵艦隊の場所が艦艇一隻一隻単位で出ていた、それを見つつ千歳に対しても話しているのだ。
「これでな」
「ではですね」
「このままな」
「攻撃を続け」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「敵艦隊を殲滅する」
「海でも空でも」
「そうだ、そして陸でもな」
 海図には浮島である蓬莱とエリュシオンも出ていた、立体でそうなっているのだ。
「勝つ」
「今の陸での戦いですが」
 今度は雅が言ってきた。
「日本軍が押していますが」
「やはり数が違うな」
「その為押し切れていません」
「海や空と違うな」
「そちらはまだ同盟は攻撃出来ています」
「大砲もだな」
「確かに旧式の重く動かしにくい大砲ばかりですが」
 それでもというのだ。
「嵐の中でも何とかです」
「使ってきているな」
「そして銃も」
 こちらの武器もというのだ。
「使ってきています」
「火縄銃か」
「はい、ですが」
「それでもだな」
「大砲も火縄銃も吹雪の中で使っているので」
 その為にとだ、雅は話した。
「狙いは極めて不正確で威力もです」
「落ちているな」
「そうなっています」
「大砲や銃も旧式なら弾を放つ力が弱い」
「その為風にも弱いですね」
「それで威力も落ちている」
 吉川はこのことも指摘した。
「その為術や接近戦に頼ろうとしているな」
「そうした戦術になっています」
「そうだな、ではだ」
「それならですね」
「こちらの狙い目だ」
 吉川はその目を鋭くさせて言った。
「長槍で近寄ろうとする敵は寄せ付けず」
「こちらの銃や大砲で、ですね」
「こちらは自動小銃とまではいかないが」 
 アメリカ軍の様にというのだ。
「火縄銃よりは遥かにいい」
「先込めではないですし」
 雅は弾丸の装填の話もした。
「確かに遥かにですね」
「いいな、ではだ」
「その銃で、ですね」
「攻める、大砲でもな」
「そして術でも」
「攻める、術のレベルは同じ程度で数はあちらが圧倒的に多いが」
 それでもとだ、吉川はさらに話した。
「敵の空船達、空軍を倒した後はな」
「こちらの空軍を陸上攻撃に回せます」
「そうなれば大きい、だからな」
「今は、ですね」
「まずは海と空だ」
 この二つの場所だというのだ。 
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