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夢幻水滸伝

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第百五十話 夜襲その十

「ほんまにな」
「それでやね」
「戦やって商売出来んやろ」
「戦に巻き込まれるからな」
「そやから儲けようと思ったらな」
「例外の人もおるけど」
「大抵のモンはな」
 芥川はその大勢それも圧倒的多数の彼等の利益を話した。
「もうな」
「平和やないとあかんな」
「そや、それで僕等もや」
「一戦で終わらせて」
「後は統一してな」
 そうしてというのだ。
「平和にやってく」
「それが決まったな」
「そや、ほんまにな」
「戦は長引いたらあかんな」
「二度の世界大戦も酷かったが」
 それまで永遠と言われた欧州の繁栄を終わらせたこの戦争達だけでなくだ、芥川はさらに話していった。
「十字軍も三十年戦争もな」
「そっちは宗教やね」
「宗教にしてもな」
 こちらもというのだ。
「おかしくなるとな」
「共産主義と変わらんね」
「共産主義も宗教みたいなもんやしな」
 イデオロギー、これもというのだ。
「自分達以外は認めんな」
「十字軍や三十年戦争みたいに」
「それでや」
 その為にというのだ。
「ああして虐殺して破壊の限りを尽くして」
「何もかも滅茶苦茶にするんやね」
「そや、あれは極端にしても」
「戦は長引かせん」
「それが第一や」
「戦を行うなら」
「そのことを決めたのはよかったわ」
 芥川の言葉は今は切実なものだった。
「ほんまにな」
「戦は短く終わるし」
「国土もこっちの人達も傷つかん」
「ほんまにええね」
「実にな」
「ほなその一戦をな」
 中里は話が一段落した二人に笑みを浮かべて声をかけた。
「やるな」
「またな」
「今からな」
「ほな戦の用意に入って」
「雲から出たら」
「吹雪の中をこのまま全速で進んでな」
 そうしてとだ、芥川は中里に強い声で答えた。
「そしてな」
「奇襲やな」
「夜の吹雪の中でな」
「思い切った戦になるな」
「その思い切った戦するで」
「よし、一騎打ちもやるか」
「その前に眼前におる敵はな」
 その彼等はというと。
「遠慮なく薙ぎ倒していくで」
「道を開くのと敵を少しでも減らす」
「その為にな」
「そしてやな」
「それぞれの相手に当たるんや」
 そうするというのだ。
「ええな」
「ほなな」
「あとな」
「あと?」
「僕等三人は最初から最後までな」
「全力でやな」
「戦うで、敵の軍勢にも星のモンにもな」
 どちらに対してもというのだ。
「ええな」
「そや、全力でや」
 まさにといういのだ。 
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