夢幻水滸伝
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第百五十話 夜襲その二
「それ実は私達もやねん」
「話してたことか」
「そや、実際な」
「蓬莱が雲の中に入ったら」
「その雲の中にもやな」
「斥候を送るべきや、海も」
こちらもというのだ。
「艦艇を送ってな」
「偵察をすべきやな」
「それで送りたいけど」
これがというのだ。
「木造船やとな」
「やっぱり難しいな」
「鉄製と頑丈さが全くちゃうわ」
「太平洋はどの勢力も鉄の船になってるからな」
「覇権を争う勢力で木造船はうち等だけや」
玲も苦い顔で述べた。
「そやからな」
「中は荒れ狂ってる雲や嵐の中斥候を出すことはやな」
「難しいのが現実や」
玲は島崎に答えた。
「ほんまな」
「その通りやな」
「それでや」
「この度はやな」
「どうするか」
それはというのだ。
「斥候は送らなあかんが」
「送るのは危険やな」
「船がばらばらになる」
玲はこの危険性を率直に述べた。
「そうなるからな」
「それでやな」
「そや、中々な」
「船は送れんな」
「雲や嵐の中はな」
「しかしや」
田山が鋭い目で言ってきた。
「斥候は送らなあかんとなると」
「ここは」
小雪が考える顔で言ってきた。
「その周りに」
「雲や嵐のか」
「その周りに斥候を置いて」
「そこからか」
「敵の動きを探るべきやろか」
「そうですね」
横溝は小雪のその言葉に頷いて述べた。
「今はです」
「それがやね」
「一番かと」
こう小雪に答えたのだった。
「我々の技術では」
「やっぱりそやね」
「はい、木造船ではどうしても」
「鉄に比べてずっと弱くて」
「この辺りの荒れた気候や海の中では」
どうしてもというのだ。
「破壊されたりします」
「そうなるさかい」
「その中には入ることが出来ません」
現実としてそれは無理だというのだ。
「どうしても」
「それやったら」
「はい、ここはです」
「雲や嵐の周りから」
「偵察すべきです」
横溝は島崎のその言葉に頷いて述べた。
「ここは」
「ほな」
「はい、私は与謝野さんのお考えに賛同します」
「確かに」
坪内が腕を組んで述べた。
「それしかないだろう」
「坪内君もそう言ってくれるんやね」
「現実的に考えるとな」
「やっぱり」
「そや、それしかない」
小雪に対して断言で答えた。
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