夢幻水滸伝
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第百四十九話 荒天その十一
「あまり遠くは見えんで」
「雲の中もやな」
「あまり見えん、雲の中は雪と風も多いが」
それでもというのだ。
「こっちの姿はばっちり隠してくれる」
「それでやな」
「その中を進んでな」
そうしてというのだ。
「先を進んでいくで」
「あえてやな」
「そや、そしてや」
「同盟を奇襲するな」
「あの時にな」
「そうするな」
「吹雪はなくても雲が多い」
「蝦夷の近くよりも」
「蝦夷の近くはまだ雲はずっと少ない」
このこともだ、芥川は指摘した。
「それでや」
「あえて蝦夷から進んだな」
「そうしたんや、こっちはほんまに数が少ない」
「その数の少なさを考えるとな」
「守るよりもや」
「攻めるべきやな」
「奇襲でな」
攻めるにしても普通に攻めては数が少ないので勝つことは難しい、それでそうするというのである。
「それでや」
「今回もやな」
「僕等は動いてるんや」
「そういうことやな」
「さて、向こうはここの荒天も蓬莱の最大速度も知ってるか」
「荒天は知っててもな」
それでもとだ、中里は芥川に答えた。
「頭の中でやな」
「そやろ、まあ僕等も大して変わらんが」
「利用する位はわかってるな」
「それだけでもちゃう、ちゃんとこの辺りも調べてたしな」
「日本を統一した時にな」
「国土だけやなくて周りのことも調べんとな」
そうしなければというのだ。
「あかんやろ」
「政が出来んな」
「それでや」
「この辺りも調べたな」
「漁業の為にな、それでな」
「その調べたことがな」
「今生きてるわ」
戦にもというのだ。
「ここの荒れやすい天候のこともな」
「そういうことやな」
「それでや、若し吹雪の中で戦うとなったら」
「余計に好都合やな」
「そや、ほなな」
「これからやな」
「雲に入ってな」
そうしてというのだ。
「これからは」
「進んでくな」
「同盟の方にな、相手の場所は常に把握してる」
「斥候を送ってるしな」
「しかもこっちには吉川がおる」
「あいつの神具の双眼鏡がな」
「あれは何処までも正確に見えるからな」
そうした神具だからだというのだ。
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