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夢幻水滸伝

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第百四十九話 荒天その十

「吹雪になるか逆にな」
「静かになるか」
「そこはわからん、けどな」
「静かになった場合もやな」
「攻めることは考えてた」
「どっちにしてもやな」
「そや、それでや」
 芥川はさらに話した。
「そろそろな」
「蓬莱の速度速めるな」
「そうするで」
「相手は蓬莱がこれ以上速くなると思ってへんな」
「ああ、これまで実際にずっとこの速度やったな」
「全速ではなかったな」
「それをな」 
 芥川はその暗い空を見つつ中里に話した。
「一気にな」
「出すな」
「そしてや」
「決めた時間に攻めるな」
「その時に天気が大荒れやと」
「こっちに好都合やな」
「そや、こっちは鉄やが相手は木やな」
 ここでだ、芥川はこうも言った。
「空船や軍艦は」
「ああ、動力も技術は低いな」
「そやから天気が荒れるとな」
「吹雪になるとな」
「それこそ斥候も出しにくい」
 そうなるというのだ。
「そやからや」
「それでやな」
「その時はな」
「こっちに好都合やな」
「そうや、空船も軍艦も満足に動けず」
「軍勢もやな」
「動きにくくなる、大砲も銃も使えてもかなり威力が落ちる」
 火器もというのだ。
「そこを攻めたらな」
「あの時にやな」
「それだけでちゃう」
「そやな」
「もっとも気候のことはわからんし」
 芥川はこうも言った。
「それにや」
「今回千歳ちゃんはか」
「そや、千歳ちゃんの風水師としての力は凄いが」
 それでもというのだ。
「二度使うことはな」
「せんか」
「奇襲は一回使ってすぐは使わんもんや」
「相手も警戒するさかいな」
「若し千歳ちゃんに吹雪を操ってもらったら」
 その場合はというと。
「連中はすぐに千歳さんを集中的に狙うやろ」
「それで潰してくるな」
「そや、それでや」
 だからだというのだ。
「それはせん」
「そやねんな」
「そや、今回はな」
「そうするか」
「吹雪の中でもな、むしろ千歳ちゃんにはな」
「普通に戦ってもらうな」
「そうするわ、それに今は吹雪がない場合も考えてる」
 先程言った通りにというのだ。
「そやからな」
「千歳ちゃんの術には頼らんか」
「そや、吹雪がない場合は場合でな」
「攻めるんやな」
「そうする、この雲の多さを使ってな」
 見れば周りはかなり雲が多い、ベーリング海上空の空の荒れ様がそのまま雲に出ていて空を暗い彼等が覆っているのだ。
「蓬莱の速度を速めてな」
「進むんやな」
「連中は確かに斥候を多く出してるが」
「その技術も低いな」
「技術の低さがそのまま出てな」
「望遠鏡とかも技術の低いもんで」
 それでというのだ。 
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