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夢幻水滸伝

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第百四十九話 荒天その九

「罪人送って開発させてるな」
「強制的にな」
「そのあたりエカチェリーナさんらしいな」
「タゴールさんも同じ様なことしてるけどな」
 彼は彼で囚人を強制労働させているのだ、二人の罪人に対する政は綾乃達のそれより遥かに苛烈であるのだ。
「確かにあの人らしいな」
「ほんまにな」
「というかシベリアなんてな」
 セーラはその地域の話もした。
「めっちゃ寒くて作物も採れへん」
「過酷な場所やな」
「そんなとこに人がおるか」
「この世界やとモンスターや獣も多いし」
「過酷なとこやしな」
「おっても殆どおらんのは当然やな」
「まあそうした地域はな」
 実際にとだ、セーラは二人に応えて話した。
「別やな」
「ほんまアマゾンに一人で入ったら私達でもや」
 元春は本気で言った。
「危ういな」
「巨大アナコンダに電気ウナギにピラニアに鰐にジャガーに」
 セーラはまず獣達から話した。
「マンティコアにキマイラにってめっちゃ多いからな」
「凶悪なモンスターもな」
 リディアも応える。
「そんなとこに入ったら」
「私等でもな」
「一人やと危ういわ」
 そうした話をして頷き合う、そして。
 カウサリアは前を見つつ他の面々にこんなことを言った。
「風が四方八方に荒れてるな」
「ここはずっとこうやな」
 トウジもその風を感じて言った。
「高山、お国におるみたいや」
「ブータンにやな」
「カウちゃんもやろ」
「そや、ネパールにおる時みたいや」
 二人でこう話した。
「凄い風やな」
「しかも冷たい風や」
「身体も冷えるな」
「そやからな」
 ダイアナはここでだった。
 お茶、熱い紅茶を出した。そのうえで二人に言った。
「セーラさんが淹れてくれたわ」
「ほなそれ飲んでな」
「あったまるか」
「そうしよな、しかしここまで風が荒くて天気も荒れると」 
 その場合はとだ、リディアは言った。
「天候にも気をつけて戦わんとな」
「そやな、猛吹雪の中で戦うとかな」
 元春はリディアのその言葉に頷いた。
「あるからな」
「そうなったらこっちの空船や軍艦では偵察も難しいし」
「木製のやからな」
「ちょっと考えるか」
「それで愛さん達にもお話するか」
 六人はセーラが淹れた熱い紅茶を飲みつつ話した、風はさらに強くなりそうして次第に空も暗くなってきていた。
 その暗くなる空を蓬莱の天守閣の最上階から見てだった、中里は言った。
「戦の時は雪になるか」
「ほな尚更好都合や」 
 芥川は笑って話した。
「どのみちこの大風の中戦うつもりやったが」
「ここに吹雪が入るとか」
「そや」
 中里に不敵な笑みで答えた。
「攻める時間が時間やしな」
「ここで吹雪になるとか」
「尚更ええわ」
「そうか、しかし自分吹雪は」
「可能性としては考えてたけどな」
 芥川は中里に答えた。
「あくまで可能性としてや」
「確実なもんとはか」
「考えてなかったわ、この辺りの気候はすぐに変わるからな」
「荒れやすいか」
「というか常に大荒れや」
「それではやな」
「ほんまにいつもどうなるかわからん」
 荒れているだけにというのだ。 
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