夢幻水滸伝
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第百四十九話 荒天その五
「けれどあの大戦艦だけはちゃうから」
「使っていこな」
「そうして日本に勝とうな」
「是非」
「さて、婿は芥川の兄さんがいいのう」
碧はにこにことして言った。
「勝ったその時に式を挙げて夜は初夜じゃ」
「結局芥川君やの」
「実はタイプじゃけえ」
それでというのだ。
「だから勝ったらじゃ」
「こっちの世界で式を挙げて」
「初夜じゃ」
夜はそちらだというのだ。
「まずは兄さんが上でそこからわらわが上になって」
「あの、碧ちゃん」
にへらという顔になって言う碧に小雪が引いた顔になって突っ込みを入れる。
「涎出てるから」
「?そうなってるんかのう」
「なってるから」
実際にというのだ。
「そやから」
「自制じゃな」
「そうせんと」
「そもそも自分経験ないやろ」
玲は呆れた顔で突っ込みを入れた。
「私もやけど」
「接吻も手をつないだこともじゃ」
「ないな」
「そうしたことは婿殿とだけすることじゃけえ」
碧は顔を赤くさせて言った。
「それは絶対じゃけえ」
「若し言い寄る男がいれば」
「断ってるけえ」
「強引にきたら」
「何人でも返り討ちじゃけえ、護身術も備えているけえ」
碧は起きた世界でも強い、古武術しかも戦の場で使われていたそれを幼い頃より叩き込まれてきたのだ。他の格闘技もである。
「おのこの弱点もわかっておるけえ」
「あそこやな」
「あの場所を攻めればじゃ」
そうすればというのだ。
「どんなおのこでも一撃じゃけえ」
「怖いな」
「実際そうじゃろ」
碧は玲に冷静に返した。
「あとみぞおき、脳天、喉、眉間とじゃ」
「急所を攻めたらか」
「人は一撃じゃ」
それこそどんな屈強な者もというのだ。
「お鼻のすぐ下もじゃ」
「ああ、そこもやったな」
愛は碧のその言葉に頷いた。
「確かに」
「そうじゃろ」
「あの、ご主人」
ここで白兎、因幡のそれが碧の足元に出て来て言ってきた。
「そういうことも言うからですよ」
「婿殿が来んのじゃな」
「夜の睦事のことを赤裸々に言うのも」
「それもか」
「はい、確かにご主人は可愛くて女子力も高いですが」
起きた世界でもこうしたことでも評判になっている、この辺りは家の教育がしっかりしている結果である。
「しかしです」
「それでもか」
「はい、そうしたお言葉はですよ」
「おのこが引くか」
「私でも引きますから」
兎は碧にこうも言った。
「ですから」
「言うべきじゃないんじゃな」
「はい」
そこはと言うのだった。
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